熊本地震から4日で1週間となった。周辺の工場では被害の確認や復旧作業が進み、徐々に稼働が再開している。一方で、被害が大きく再開のめどが立たなかったり、部品の安定供給への懸念から稼働を止めたりするケースも残されている。
トヨタは慎重な判断、ホンダは停止延長
トヨタ自動車の東崇徳経理本部長は4日の決算記者会見で「人命が第一で、次に地域の復興、最後に生産の再建や再興だ。優先順位を崩さず、慎重に稼働の判断をしている」と述べた。
トヨタは福岡県の3工場について、地震発生翌日の7月29日午前にいったん稼働を再開したが、同日夕方から再び停止。8月5日までの稼働停止が決まっている。愛知県の工場でも、予定していた生産ラインの工事も兼ねて、3~7日に稼働を停止中だ。
自動車は部品点数が多いため、一部でも部品供給が滞ると完成車が作れなくなる。熊本県内には自動車部品を扱う工場が多く、2016年の地震の際も被害のない遠方の工場で稼働が止まっており、今回も影響は広範囲に及んでいる。
ホンダは19日まで生産停止、日産は6日再開
ホンダも4日、埼玉県の2工場と三重県の工場で停止期間を延長し、19日まで一部を除き生産を止めると発表した。一方で、日産自動車は、7月30日から一部停止している福岡県内の子会社の工場について、6日に生産を再開することを明らかにしている。
自動車業界では、お盆期間に工場を止めて夏休みをまとめて取る慣習がある。業界全体での本格的な稼働の再開は17日以降にずれ込むとみられている。
半導体は早期に復旧、ソニーやルネサスが再開
熊本県に工場が集積する半導体産業の先行きについても懸念が広がった。ただ、これまでのところ、16年の地震の際よりも復旧のスピードは速い模様だ。
ソニーグループは4日、熊本県菊陽町にある画像センサー工場の操業を再開した。16年の地震では完全復旧まで3か月以上かかったが、今回は8月中旬にも地震前の稼働水準に戻る見通しだ。
ルネサスエレクトロニクスも、熊本市の工場で4日に生産を再開し、月内に完全復旧する見通しだ。
三菱電機は、パワー半導体を作る合志市と菊池市の工場の操業を7月30日から順次再開。16年の地震では、製造装置の被害などで約80億円の損失が出たが、今回の被害額は3分の1~4分の1程度で済みそうだという。
台湾積体電路製造(TSMC)も、一時生産を停止していた菊陽町の熊本第1工場で、3日までに通常の生産体制に復帰した。
日本製紙八代工場は復旧に時間
ただ、半導体の生産工程は複雑で、生産を再開しながら完成品の品質確認が必要となるため、新たな被害が見つかる恐れもある。関係者は「関連工場が集積すれば生産効率は高まるが、災害時のリスクも高まる面もあり、バランスが難しい」と打ち明ける。
また、煙突が倒れるなどした日本製紙八代工場では、9人が亡くなり、今も被害の全容が確認できておらず、復旧にはまだ時間がかかる見通しだ。赤沢経済産業相は4日の閣議後記者会見で「影響が最小限となるよう全力で対応したい」と話している。



