熊本地震避難者の10.5%に血栓、エコノミークラス症候群検診で判明
熊本地震避難者の10.5%に血栓、エコノミークラス症候群検診で判明

熊本地震で避難生活を送る熊本県3市町の避難者247人を対象に、日本医師会の災害医療チーム「JMAT」が実施したエコノミークラス症候群の検診で、原因となる血の塊(血栓)が10.5%の避難者から見つかったことがわかった。チームの医師は「定期的な検診と避難所の環境改善が必要」と指摘している。

検診の結果と詳細

検診は15、16日、日本臨床衛生検査技師会と共同で、熊本県宇城市、八代市、氷川町の避難所10か所で実施。医師や臨床検査技師約25人が、避難者の脚をエコーで検査したり、採血したりした。

チームによると、247人中26人(10.5%)に血栓が見つかり、うち2人を肺にまで血栓が達している疑いがあるとして救急搬送した。このほか、5人に心不全の症状が確認された。チームは8、9日にも別の避難所を含む16か所で検診を行い、221人中16人(7.2%)から血栓が見つかった。災害と関係ない一般の人が対象の場合、血栓が確認されるのは約4%といい、チームは3市町で増加傾向にあると判断したという。

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血栓発生の要因と専門家の見解

検診したチームの一員で、長年被災地調査を行う新潟大学の榛沢和彦特任教授によると、今回は発生から1週間以内に避難所で簡易ベッドがないところがあった上、記録的な猛暑や断水が重なって脱水状態が続いたことで、血栓が生じた可能性が高い。避難所の環境が整った後も、避難者同士の距離が近くて動きづらく、ベッドに寝たままの人もいるという。榛沢特任教授は「運動不足で、ストレス負荷もかかるため、日ごとに血栓ができやすくなる」と指摘する。

県によると、2016年4月の熊本地震では、発生直後から17年3月の間に、少なくとも54人がエコノミークラス症候群として県内の主な医療機関に入院した。避難者の中には、同症候群で亡くなった人もいた。榛沢特任教授らは、10年前に震度7を2度観測した益城町内の避難所などで、地震発生から間もない16年4月19~21日に検査を実施。84人中14人(16.7%)から血栓が見つかったという。

今回、当時と比べて血栓が見つかった避難者の割合は少ないが、榛沢特任教授は今後増える可能性があるとして、「暑さと停電、断水が重なって脱水が起き、血栓ができやすくなっている」と警鐘を鳴らす。「水分を十分摂取し、2、3時間に1回は外に出て歩くなどの運動をしてほしい。自治体は地元の医師らと連携して検診し、治療につなげることが重要だ」と呼びかける。

二次避難と予防対策の進展

宿泊施設への二次避難が進んでいる。熊本県は3日以降、少しでも整った環境で過ごしてもらい、災害関連死を防ごうと、宿泊施設への二次避難を進めている。当初、被災者が希望するエリアに受け入れ可能施設がなかったが、県内170施設が利用できるようになった19日時点で、延べ約800人が利用する。県の担当者は「あくまでも仮の滞在施設だが、今後の住環境の整備も進め、災害関連死を防ぎたい」と話す。

避難者に呼びかける動きも。八代、宇城両市など被害の大きかった5市町は県外自治体の応援を受け、日中に保健師らを避難所などに派遣し、体調不良がないかを確認させる。夜間は警察官が、車中泊をしている避難者らが集まる場所をチェックし、相談を呼びかけるチラシを配布している。

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