ホンダ、1四半期最高益も「中国半減」「EV補助」に備える攻防
ホンダ、1四半期最高益も中国半減やEV補助に備える

ホンダが8月5日に開示した2027年3月期第1四半期決算説明会で、執行役副社長の青山真二氏は「異常に強い決算だった」と語った。同社の2026年4〜6月期の営業利益は5307億円(前年同期比117.4%増)となり、第1四半期として過去最高を更新した。インドやブラジルで販売を伸ばした二輪事業が過去最高益を記録したほか、北米でハイブリッド車を中心に販売を伸ばした四輪事業が好業績を牽引した。

通期計画を上方修正、為替前提の見直しで

好業績を受け、同社は2027年3月期の通期連結業績予想を修正した。営業利益の見通しは、5月14日の発表から1500億円引き上げ、6500億円へと上方修正している。

この上方修正は主に、為替レートの前提を見直したことによるものだ。通期の為替前提を1ドル145円から155円に変更したことで、1700億円のプラス効果を見込む。一方で、中東情勢の緊迫化など地政学的リスクに伴う原材料価格や販売台数への影響は不透明感が強く、リスクを織り込む必要があるとして、販売台数などの実質的な計画は前回の見通しを据え置いた。

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同日の決算説明会では、同社の経営陣が「半導体コストへの懸念」「中国市場でのEVシフト」「EV補助金交付の進展」「令和8年能登地震の影響」などについて語った。その内容を一問一答形式で紹介する。

メモリ半導体の調達リスク、対応策は?

足元のメモリ半導体の調達リスクや価格高騰の影響は?

青山氏:データセンター需要とのバッティングなどにより、需給バランスは厳しい状況だが、2027年以降には供給側の生産能力向上による緩和が期待できると考えている。

当社は車載向けのレガシーなメモリの生産に前向きなサプライヤーとの取り組みを戦略的に拡大し、価格交渉での粘り強い対応や、一部で長期供給契約を結ぶなどの対策をすでに講じている。現時点で調達面でのトラブルや問題は生じていない。

コスト面に関しては、メモリ価格の高騰影響をあらかじめ見越しており、今回の期初からの業績見通しにはすでに約300億円のコストアップ影響を織り込み済みだ。そのため、今後さらに高騰が続いたとしても、現在の通期見通しの枠組みの中で対応できると考えている。

中国市場における攻防、打開策は?

中国市場で販売低迷が続く背景と対応策は?

青山氏:中国市場は、想定以上のスピードでEVなどの新エネルギー車へとシフトしており、ガソリン車やハイブリッド車を中心に展開するホンダの販売が苦戦している。現地のエンジン・ハイブリッド車市場自体が、前年同期と比べて約4割縮小しており、当社の4〜6月の販売も8万台強と前年比で半減している。第1四半期における中国での販売台数は約8万台強と前年比で約5割落ち込み、通期目標(48万台)に対して大幅な遅れが生じている。

当社はかつて150万台余りあった中国の生産能力を、広東にある第1工場の稼働停止を決めるなど、約70万台強へとスリム化させてきた。足元のガソリン・ハイブリッド車市場の縮み方が想定よりもドラスチックであるため、今後にについても市場を注視しながら対応する。

現地サプライヤーやパートナーのプラットフォーム活用については、技術開発スピードやコスト競争力の観点から極めて重要であると考えている。既存のエンジン車・ハイブリッド車については、次のフルモデルチェンジに向けてかなり突っ込んだ開発の議論を進めており、競争力のあるモデルを出せる見込みだ。

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EV領域においても、パートナーのプラットフォーム活用を軸に現在交渉を進めている。ただ、これらの成果が実際に市場に出てくるには、あと1年はかかると見ており、ここ数年はいわば「しのぐ時期」だと捉えている。

北米でEV戦略見直し、補助金の計上タイミングは?

EV関連の損失が今回の第1四半期決算で発生しなかったのはなぜか。

高柳淳氏(執行職 経理財務担当部長):北米のEV戦略変更に伴う損失については、前期までに1.3兆円を処理した。今期の計画として置いている5000億円(為替反映後5200億円)は、主にサプライヤーへの補償費用だ。

第1四半期において計上がなかったのは、各サプライヤーとの具体的な補償交渉やコミュニケーションを開始したばかりであり、確定した金額がまだ決算に反映されていないためである。

多くのサプライヤーと個別に交渉を進めているため、合意に至り費用が確定した段階から順次、四半期ごとに計上していく。「第2四半期決算に集中する」あるいは「下期に偏る」といった性質のものではなく、話がまとまったものから段階的に上乗せしていく見通しだ。

能登地震でダンパーなどが損傷、生産への影響は?

7月28日に発生した「令和8年能登地震」による、生産体制などへの影響は?

青山氏:二輪車の主要拠点である熊本製作所は、地震発生当日の夕方から8月7日まで9日間の稼働停止を決定(8月5日から一部再開)した。

四輪生産では、震源近くに工場があるサプライヤーが被災し、ダンパーなどの部品が損傷している。

令和8年能登地震に伴う生産停止による具体的な影響については、現状まだ見通すことができない。ただ、事業を大きく狂わすような規模にはならないと考えている。