広島土砂災害の発生から20日で12年となった。災害関連死を含めて77人が亡くなったこの災害を機に、当時小学4年生だった山根更さん(22)は防災に関わる仕事を目指している。山根さんは「防災情報を伝える職業に就き、誰も被害に遭わないように力を尽くしたい」と意気込んでいる。
伝承館でガイドを務める山根さん
山根さんは2024年から、災害の教訓を伝える広島市豪雨災害伝承館でガイド役を務めている。伝承館は23年9月、多数の犠牲者が出た安佐南区八木地区の高台に整備された。館内には被災時の写真パネルが展示され、当時の土石流を再現したCG映像が上映されている。山根さんは、当時の状況を紹介し、避難や備えの大切さを呼びかけている。
被災当時の記憶と防災への決意
当時小学4年だった山根さんは14年8月20日未明、自宅で激しい雷雨の音で寝付けずにいた。山根さんの家族や自宅周辺では大きな被害がなかったが、翌朝登校すると、土砂が校庭に流れ込んでおり、教師や同級生と泥をかき出した。ニュースで自宅近くの緑井地区の家が土砂に押し流される映像も見た。同地区では14人が死亡した。
その後、広島では18年の西日本豪雨で多数の死者が出た。山根さんが高校生だった21年夏には、同市北部で再び豪雨災害が起きた。自宅近くの道路が寸断され、山根さんは広島土砂災害を思い出した。「あの時『100年に1度の大雨』と言われたが、その後も大災害が続いている。災害から命を守るための活動をしたい」と思うようになった。
ガイドとしての活動と目標
地元の安田女子大に進んだ。1年だった23年秋、大学の講義で伝承館を見学した。山根さんが「もっと話を聞きたい」と伝承館の担当者に要望すると、ガイド役に誘われた。ガイドでは多くの人が聞き入り、「人ごとではない」と考えてくれる一方、「自分の家は山から遠いから大丈夫」といった声も聞く。山根さんは「災害はどこでも起こりうるが、防災の大切さが伝わりきっていない」と危機感を抱く。
目標は気象台職員など防災に携わる公務員だ。気象の警報・注意報を発令したり、自治体と連携して避難指示を出したりするほか、啓発イベントを開く業務がある。伝承館では、「過去に経験のない雨だと感じ、他の地域での災害も知っていたのに、我が身に降りかかると思わなかった」といった被災住民の証言映像が流れ、「判断ミス」も伝えている。山根さんは「危機感を伝え、犠牲者や悲しい思いをする人を減らしたい」と話している。



