熱中症で救急搬送逼迫、酷暑日に稼働率84.6%…将来的には搬送困難多発の試算も
熱中症で救急搬送逼迫、酷暑日に稼働率84.6%…将来的には搬送困難多発の試算も

名古屋市が連日の猛暑に見舞われた7月23日正午すぎ、市消防局に「救急隊稼働率が80%を超えました」と一斉放送が響いた。午後0時11分には「救急隊ひっ迫アラート」が公式SNSで発令され、予備の救急車3台が出動準備に入った。

稼働率84.6%に達する酷暑日

この日の最高気温は39.9度を記録し、救急車54台の稼働率は一時84.6%に達した。名古屋記念病院では夕方からほぼ1時間おきに4人の熱中症患者が運び込まれ、中等症の高齢者ら2人が入院した。救急内科部長の椎野憲二副院長は「夏場は熱中症患者らで救急治療室が埋まり、非常に逼迫することがある」と危機感を示す。

稼働率80%以上で発令されるアラートは、市民に逼迫状況を知らせるため2024年に導入された。夏の発令(6~9月)は25年度が8回、26年度は5回を数える。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

職場での熱中症死傷者が最多に

労働現場でも危機が広がる。25年は職場で熱中症が原因で19人が死亡し、4日以上休業した人と合わせた死傷者数は1803人と、厚生労働省の05年の統計開始以降で最多となった。

東京都世田谷区と川崎市を結ぶ東名高速道路の東名多摩川橋の改修工事現場では、午後1時までに全ての作業を終え、作業員が一斉に帰宅する。大手ゼネコンの大林組は今年、7~8月の作業開始時間を午前8時から午前7時、終了時間を午後5時から午後1時に早めた。暑さがピークを迎える午後の作業を避ける取り組みで、現在約60の工事現場で導入されている。

作業は1日あたり約2時間短くなるが、夏以外の時間を延ばすなどして工事を進める。作業時間短縮後も賃金は従来水準を維持するため企業のコスト負担は増えるが、担当者は「命や健康には代えられない」と強調する。

将来的には救急医療の崩壊も

「災害級」の猛暑により、熱中症による救急搬送は25年に全国で10万人を突破し、死者数は24年に最多の2160人となった。東京大などのチームは、15~19年に暑さに関連した持病の悪化などで亡くなる「暑熱関連死」が約3万3000人と、熱中症死者数の6.6倍に上ると分析する。

国立環境研究所は、50年までに東京都内では熱中症患者だけで救急車が埋まり、搬送困難が多発するとの試算を出す。日本救急医学会理事の横堀将司・日本医科大教授は「できるだけ熱中症患者を減らすとともに、不要不急の救急搬送数を抑える対策などが急務だ」と指摘する。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ