警察庁の有識者検討会は3日、一定の交通違反歴がある75歳以上の高齢ドライバーを対象とした「運転技能検査」について、検査課題の追加や減点の厳格化を提言する報告書をまとめた。来年度中の運用開始を見込む。
検査課題に「方向変換」を追加
報告書では、新たな課題として、アクセルとブレーキのペダル操作の正確性を確認できる「方向変換」を追加するとした。これは、車を後進させる「車庫入れ」と、逆方向に前進する動きを組み合わせた課題で、同時に複数の運転操作が必要になる。ポール(障害物)に接触したり、脱輪したりした場合は20点の減点とする。
さらに、減点項目に、見通しの悪い交差点などで前方や左右の確認を怠る「安全不確認」(減点10点)を追加する。このほか、重大な事故に直結する「一時不停止」の減点数も現行の「最大20点」から「最大40点」へと厳格化する。
合格率は12ポイント低下
検査は100点からの減点方式で、普通免許の場合、70点以上が合格となる。警察庁が約150人を対象とした実証実験では、見直し後の検査の合格率は81%で、現行から12ポイント下落した。
警察庁は今後、パブリックコメント(意見公募)を経て、道路交通法施行規則を改正し、検査内容の見直しを全国警察に通達する。
背景に高齢運転者の事故
警察庁によると、昨年、全国で75歳以上の高齢運転者が起こした死亡事故のうち約3割は、アクセルとブレーキの踏み間違いなどの「操作不適」が原因だった。運転技能検査は、高齢運転者の重大事故を防ぐために2022年5月施行の改正道路交通法で導入され、昨年は全国で受検した約15万人の約93%が合格した。
検査の合格者による交通事故は、その他の高齢ドライバーの最大約4.5倍に上るとされる。警察庁は今年7月、自動車教習所の団体幹部や学者らで構成する有識者検討会を設置し、検査内容を充実させるための議論を重ねていた。
運転技能検査は、免許更新までの3年間に、信号無視や速度超過など16種類の違反歴があった75歳以上の運転者に義務づけられている実車試験。免許有効期限の半年前から何度でも受検でき、合格しないと免許は失効する。



