福島県郡山市湖南町の「郡山布引風の高原」で23日に予定されていた恒例イベント「布引風の高原まつり」が中止となった。イベントのシンボルである約180万本のヒマワリが、シカによる食害でほぼ全滅したためだ。
中止は7日、地元商工会などでつくる実行委員会が発表した。関係者らは「地元農家と協力して準備を進めてきたのに、本当に残念」と肩を落としている。
ヒマワリ畑は荒れ地に
ヒマワリは標高約1000メートルの位置にある約9ヘクタールの畑に、市から委託を受けた地元生産者が育てていた。高原から猪苗代湖を見渡せる眺望の良さが売りで、観光客は年々増加。昨年は見頃を迎えた8~9月に5万9420人が訪れた。
湖南町商工会によると、7月中旬にヒマワリの芽が食い荒らされているのを生産者が見つけた。例年通りなら8月上旬に高さ50センチほどになり、中旬には見頃を迎えるはずだった。
県が設置している監視カメラ映像には、近くのコスモス畑で植物の芽を食い荒らすシカの群れが映っていたほか、ヒマワリ畑には無数の足跡が残されていた。
被害は拡大、コスモスも全滅寸前
映像が撮影された7月11日以降も被害は止まらず、ヒマワリ畑は今月5日までにほぼ全滅。例年9月上旬に見頃を迎えるコスモスも全滅に近い状態という。
高原でダイコンを生産する郡山市の男性(56)は「うちのヒマワリもやられた。シカは数年前から出没していたが急に数が増えた」と困惑した様子で話した。
鳥獣対策を担当する郡山市農業生産流通課によると、ニホンジカは湖南町を含む市内西部地区で生息が拡大しているという。2023年度の農作物被害は約143万円に上った。
シカの生息数は増加傾向
ニホンジカの生息数は県全体で増加傾向にある。県の調査によると、24年度は1万1672頭が生息していると推定され、10年前と比べて2・6倍に増えた。
捕獲数は郡山市を含む県中地域で24年度が374頭と、10年前の11倍に急増。今年3月に策定した今後5年間の県の管理計画では、年間捕獲件数の目標を1400頭以上から3500頭以上へ大幅に引き上げた。
観光資源を守る対策は
郡山市によると、農作物ではない観賞用のヒマワリは国の補助金を活用した電気柵設置の対象にはならない。ヒマワリ畑の周辺に爆音機を設置して野生動物を追い払っていたが、担当者は「どんな対策が効果的なのか調査研究を進め、観光資源を守るため、県と連携したい」と話している。
イベントの実行委員長で湖南町商工会長の小原博さん(67)は「開催できないか検討したが、これではどうしようもない」と落胆した。実行委は来年の開催を見据え、既に畑の整地を始めているという。



