13日の豪雨で一時、千葉県内約6万7990戸で発生し、2日後に解消されたとされる停電が、千葉市などの少なくとも13棟のマンションで続いていることが自治体への取材でわかった。東京電力側の供給に問題はないが、マンションが管理する地下の電気設備が浸水したためで、水道の配水が止まっているケースもある。復旧の見通しが立たず、住民は「いつまで続くのか」と疲弊の色を濃くしている。
暗がりの中でランタン生活
千葉市中央区の10階建てマンションの一室で16日夜、住人の女性(82)が夫(86)に「手元が暗くて何も見えないわ」と語りかけた。マンションは停電している上に、給水ポンプが止まって水道も使えない。食事はコンビニ弁当で済ませ、ランタンを頼りに真っ暗な室内で夜を過ごしている。
同区では14日朝までの24時間降水量が観測史上1位の367ミリを記録。マンション周辺は一時、人の腰の高さまで冠水し、地下にある電気室の分電盤が水没した。
管理人や住民によると、電気室の排水は17日に終えたが、完全に乾燥させないと感電の恐れがある。今後、業者の見積もりを取り、住人の合意を得た上で復旧に着手するが、早くても1か月はかかる。疲れがピークに達した夫妻は17日から近くのホテルに身を寄せ、夫は「暑さが増し、電気も水も使えないと命に関わる」と話す。
約200メートル南のマンションでも
約200メートル南にある8階建てマンションでも同様に地下の電気室が水につかり、停電と水道の配水停止が続く。管理会社の担当者は「住民が不便な思いをされている」と、階段を上り下りしながらペットボトル(水2リットル入り)6本が入った箱を全戸に届けていた。
東電パワーグリッドによると、停電は15日午後10時時点で「復旧」した。送電設備に問題がなく停電戸数をゼロと発表したが、読売新聞の取材では、17日時点で千葉市中央区で10棟、同市美浜区と八千代市、松戸市で各1棟が停電している。自治体は他にも被害がないか確認を急いでいる。
過去の台風からの教訓
同様の問題は、2019年10月の台風19号でも起きた。川崎市のタワーマンションで停電が長引いた反省から、国土交通省は20年6月、〈1〉電気設備の上階への設置〈2〉止水板、防水扉などの設置――などを盛り込んだ浸水対策の指針を策定したが、今回の被害事例で全く対策を取っていなかったマンションもあった。
住宅問題に詳しい千葉大の鈴木雅之教授は「繁華街などでは1階を店舗などに活用するため電気室を地下に設ける物件も多い。既に地下にある設備を移動させるのは難しく、指針に沿った浸水対策を徹底してほしい」と話している。
医療機関にも影響
医療機関も浸水で地下設備が被災し、休診などの影響が出ている。
千葉市稲毛区の山王病院(病床数255)では電気設備が浸水して停電が続き、20以上ある診療科は全て休診中だ。入院患者138人の大半は災害派遣医療チーム(DMAT)の協力で転院するなどしたが、復旧時期は見通せないという。千葉県四街道市の男性患者(84)は「薬の処方箋を受け取るのも難しいと言われた。自宅近くの病院に相談するしかない」と困惑していた。
千葉大医学部付属病院(千葉市中央区)は排水ポンプが故障し、医療器具を洗浄できなくなった。19日は全ての手術を中止し、20日以降は件数を減らす。



