八戸沖貨物船座礁、走錨対処遅れ指摘 運輸安全委が報告書公表
八戸沖貨物船座礁、走錨対処遅れを運輸安全委が指摘

国の運輸安全委員会は27日、2021年8月に八戸港沖でパナマ船籍の貨物船「クリムゾン ポラリス」(3万9910トン)が座礁した事故について、船がいかりごと波に流される「走錨(そうびょう)」によって引き起こされた可能性が高いと結論づける調査報告書を公表した。走錨が疑われた際、中国籍の船長が速やかに対処していれば「事故の発生を回避できた可能性がある」と分析している。

事故の経緯と原因分析

事故は2021年8月11日午前7時半頃、八戸市の沖合で発生。21人が乗っていた同船はいかりを下ろして停泊していたところ、風と波を受けて流され、水深の浅い地点に乗り上げた。けが人はいなかったが、翌12日に船体が折れ、重油や積んでいた木材チップが流出し、清掃作業が行われた。

報告書では、走錨の要因としていかりを下ろす速度が速すぎたため、海底で船といかりをつなぐ鎖がいかりの上に「団子状態」で乗ってしまい、いかりが機能を十分に発揮できなかった可能性があると指摘。また、船がいかりを軸に風や潮の影響で移動すると考えられる「振れ回り範囲」の半径を、船長が船の管理会社「美須賀海運」(東京都)の規定より約500メートル長く設定したため「早期に走錨を検知する機会を逸したものと考えられる」とした。

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船長の対応と再発防止策

過大に設定された振れ回り範囲を船が超えても、1等航海士はすぐに船長に報告しなかった。1等航海士が走錨の疑いがあると報告した後も、船長は監視の継続を指示したのみで、速やかに対処しなかった。

報告書では、美須賀海運は事故後、いかりを下ろして停泊している状況を船の記録などから1日1回確認すると決めたほか、乗組員らに対する教育を実施したとしている。

影響と補償

同船の船長については2021年9月、八戸海上保安部が業務上過失往来危険容疑で書類送検し、八戸簡裁が罰金30万円の略式命令を出した。同船の座礁と重油流出で操業できなかった周辺の漁業関係者に対し、船主側は補償を行ってきた。

八戸みなと漁業協同組合は昨年まで定置網やホッキ貝の漁に出ることができなかった。尾崎幸弘組合長(63)は、「補償があったとしても漁師にとって漁に出られないのは魂を抜かれたようなものだった。対処が遅れた船長に罰金だけというのは納得できていない」と話した。

船主側の代理人は27日、「大変な事故を発生させ地元関係者にご迷惑をおかけしてしまった点、改めておわび申し上げます」と謝罪した上で「再発防止対策を講じているところではありますが、調査報告書を精査の上、安全運航を目指し、更なる対策を取っていく所存です」との談話を出した。

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