前橋市江木町の赤城病院から、熊本県で最大震度7を観測した地震の被災地に、災害派遣精神医療チーム(DPAT)のメンバー4人が派遣された。現地で支援を行った関口秀文院長(44)が読売新聞の取材に応じ、「インフラが断たれ、支援物資も十分に行き届いていなかった。避難所では持病の症状が悪化する患者も出ている」と過酷な状況を語った。
現地での活動内容
DPATは精神科医や看護師らで構成され、発生からおおむね48時間以内に被災地に入って活動する。現地では、精神疾患のある患者の診療や被災した医療機関への支援などを担う。
関口院長は、地震発生から3日目の7月30日朝から今月2日まで、同県八代市の熊本労災病院を拠点に活動。同市と隣の氷川町の精神科病院や避難所を回り、患者の診察を行ったり、DPATの支援活動を周知したりしてきた。
インフラの大きな打撃
現地の状況について、「道路にひび割れが発生し、断水などでインフラが大きな打撃を受けていた。そんな中でも、住民らは協力し合いながら生活していた」と振り返り、水が出る鮮魚店のシャッターには「水自由にどうぞ」と貼り紙があったという。
水や食料などの支援物資は全国各地から届き、一部施設に集約されていた。しかし、それらの存在を知らない病院も多く、中には食料の供給が止まったり、食材はあっても水が足りなくて調理ができなかったりしたところもあった。「インフラが断たれると精神が崩れていく」とし、被災状況の整理や支援情報を提供することにも多くの時間をかけた。
避難所での症状悪化
避難所では、精神疾患を抱える患者の症状が悪化する状況がみてとれた。普段服薬している薬を持たずに避難したため、緊急入院が必要になった患者もいた。精神疾患を持っていなくても、慣れない避難所生活で不安が募ったり、不眠になったりする人も多く、「誰にでも起こりうる症状。周囲のサポートや安心して生活できる環境が必要だ」と話す。
同病院は、DPATに力を入れて派遣体制を整えており、これまで能登半島地震などでも支援に当たってきた。今回は地震発生直後から、病院全体で協力し合ったことで円滑に現地入りできたという。関口院長は「現場でSOSが出ているなら、たとえ遠くでも一丸となって助けに行くのが使命だ」と力を込めた。



