イオンモール熊本爆発、館内に戻った従業員の証言とイオン側の説明に食い違い
イオンモール熊本爆発、帰宅促す一方で戻る許可?証言食い違う

7月28日午後、熊本県嘉島町の商業施設「イオンモール熊本」で爆発が発生し、従業員7人が死亡した。夏休みで家族連れでにぎわう中、地震直後に避難した従業員らが施設内に戻った経緯をめぐり、現場の証言とイオン側の説明が食い違っている。

爆発前の状況と避難

2階のテナントの男性店長(42)は従業員と打ち合わせ中、下から突き上げられるような揺れに襲われ、その場に伏せた。店内では商品が次々と落ち、叫び声も聞こえた。嘉島町の震度は6強で、イオンによると当時店内には約3000人の客と1300~1500人の従業員がいた。避難誘導は約30分で終了した。

午後5時過ぎ、駐車場で待機していた男性店長のもとに、イオン側とみられるスタッフが「今日は営業終了になります」と帰宅を促した。これは「避難後は館内に戻らない」と定めたイオンのマニュアルに沿った対応だ。しかし、従業員からは車の鍵や財布を置いてきたため「帰宅できない」との声が上がり、「店に荷物がある人は取りに行ってもいい」とスタッフが呼びかけていたと男性店長は証言する。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

館内に戻った経緯と爆発

男性店長は荷物を持っていたが、同僚の女性3人に付き添って施設内に戻った。他の10人ほども入っていくのを見たという。施設内は静まりかえり、店舗は商品が散乱。4人はエスカレーターで2階に向かったが、ガスの臭いが強く、「危ないね。必要な物だけ取って、すぐに出よう」と声を掛け合い、南側の出口から外に出た。

午後5時50分頃、4人のうち20歳代の女性が着替えのため再び施設内に戻った。男性店長が車を取りに行こうとしたその時、「ボンッ」という爆発音が響き、白い粉じんが舞った。女性2人は無事だったが、吹き飛ばされたコンクリート片が頭上を越えて飛散したとみられる。30歳代の女性は「立っていた場所が少しでもずれていたら、つぶされていたかも」と恐怖を語った。

男性店長が警察官に事情を伝えると、施設内に戻った女性の捜索が始まり、深夜に救助された。彼女は爆発後に救助された唯一の生存者で、同僚女性2人は泣き崩れて喜び合った。

イオン側の説明と疑問

イオンの吉田昭夫社長は記者会見で、従業員らが施設内に戻る許可を出したことは「一切ない」と否定した。しかし、男性店長をはじめ、イオン側に確認した上で店に戻ったとの証言は多い。同社の広報担当者は「混乱が生じ、マニュアル徹底が不十分だった可能性がある。事実関係を確認する」としている。

男性店長は「2階はすぐにガスくさいとわかる状況だった。点検していれば、入らないでと言えたのではないか」と疑問を口にする。

専門家の指摘と今後の課題

関西大の越山健治教授(都市防災)は「イオン側が施設内の安全性を十分に確認していたかを検証すべきだ。地震後、ガス漏れを含め安全確認が終わるまでは施設内に入れないようにするなどの対策も考えていく必要がある」と話す。

イオンモール熊本のような大型商業施設は災害時の避難所や物資供給拠点として活用されており、イオンは全国141自治体と包括連携協定を結んでいる。今回の事故は、LPガス漏れに引火した可能性があり、イオンは各施設で安全点検を進める。

福島県いわき市は地元のイオンと協定を結び、津波発生時には施設内に避難する想定だ。市の担当者は「周辺に高い建物はなく、逃げ遅れを防ぐ重要な施設。市としても安全性を確認したい」と話す。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ