廃線のバス路線、住民の力で約2年3カ月ぶり復活 千葉市緑区
廃線バス路線、住民の力で復活 千葉市緑区

運転手不足などで廃線となった千葉市緑区のバス路線「大椎台線」が、地域住民の力で約2年3カ月ぶりに復活した。同区大椎台地区とJR土気駅を結ぶ2.1キロ区間で、通勤や通学で利用者の多い平日朝夕に計6便を運行する。地域住民が需要見通しなどを調べて市が協力。バス会社とも緊密に連携したことで運行再開を実現した。

7月末の午後6時過ぎ、JR土気駅前に停車したバスに、乗客が次々と乗り込んだ。10分後に大椎台団地に向けて出発。これまで自宅から歩いて10分ほどかかる別の路線のバス停を利用していた40歳代の女性会社員は運行再開に、「とても便利になってありがたい」と笑顔で語った。

廃線までの経緯と住民の声

大椎台線は7月16日に復活した。平日朝夕の運行で、午前6~7時台は団地発が3便、午後6~7時台はJR土気駅発が3便の1日計6便だ。

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市や大椎台自治会によると、同路線は2024年3月末に廃線となった。1日32便を運行していたが、運行事業者の運転手不足や利用者の低迷が重なり、減便を経て、廃線となった。

廃線後は代替手段として、日中、乗り合い型のデマンドタクシーが導入された。だが、朝夕に駅と団地を結ぶ交通手段はなくなった。バスを利用していた人は、駐車場を借りて駅まで車通勤したり、家族に送迎してもらったりしていた。

だが、「便数は少なくても朝夕は運行してほしい」「バスがないと運転免許の返納ができない」など、路線復活を求める声は根強かった。

住民のアンケートと市の協力

路線の復活に立ち上がったのが、大椎台自治会の住民らだった。

地区の全850戸に、乗車の希望や発車時間、利用料金などのアンケートを実施した。「路線が復活したら利用する」と回答した人の約6割が乗車すると仮定した場合、1便あたり20人以上の利用が見込めることがわかった。

自治会長の川本幸立さん(73)は「ただ『路線復活を』と訴えるだけでなく、需要を数字で示す必要があると思った」と振り返る。

アンケートの結果を受け、市も知恵を絞った。同市若葉区で運行するコミュニティーバスと、JR土気駅を発着する企業の従業員送迎用のバスを、運行前後に大椎台線で利用できないかと考えた。

運行する京成バス千葉イースト(成田市)と、武井観光(千葉市若葉区)に交渉すると、運転手の労働時間が法定内に収まることがわかり、運行再開に光が見えた。

運賃と今後の課題

運賃は片道320円で、廃線前から100円以上値上がりした。通常の路線バスと比べて割高だが、自治会やバス会社、市が協議し、運行コストや利用見込みを踏まえて設定した。

継続的な利用を促すため、12枚つづり3200円の回数券(片道約266円)も販売する。それでも赤字となった場合は、市が赤字分を穴埋めする予定という。

全国的に路線バスの減便や廃止が相次ぐ中、廃止された路線が復活するのは異例だ。市交通政策課の担当者は「一度やめたものを復活するのは本来難しいが、住民と企業の双方の歩み寄りがあったからこそ実現できた」と要因を挙げる。

運行を継続するため、大椎台自治会は「1便あたり約20人」という利用目標を掲げている。だが、再開から半月ほどたった7月末時点での利用者は、1便あたり10人前後にとどまる。

川本さんは「バス以外の方法で通勤していた人が、バス通勤に戻るまでには少し時間がかかる。住民の希望に応えて路線が復活した以上、皆さんに乗ってもらう必要がある。利用を呼びかけていきたい」と話している。

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