1日、住宅街などの幅員が狭い「生活道路」で、法定速度を時速60キロから30キロに引き下げる改正道交法施行令が施行された。生活道路の交通安全対策を巡っては、警察庁が平成23年、指定エリアの最高速度を30キロに区域規制する「ゾーン30」の整備を全国の都道府県警に指示。今年3月末時点で全国に4457カ所が指定された。
ゾーン30とは
ゾーン30は、住宅街などの一定区域を面的に速度規制し、歩行者らが巻き込まれる交通事故を減らそうという施策。都道府県の公安委員会が道路管理者と協議して指定するもので、指定区域内は一律で制限速度が30キロとなる。
令和4年3月末までに全国に整備された4187カ所について、警察庁が整備前と整備後の1年間の死亡・重傷事故件数を累計で比べたところ、全体の件数は29%減、歩行者や自転車の事故も26%減っていた。また、2年から6年までの5年間で歩行中の小学生が関係した交通事故を分析した結果、ゾーン30での死者はゼロだった。
川口の事故が契機に
ゾーン30のきっかけとなった事故は、平成18(2006)年9月25日に起きた。午前10時ごろ、川口市戸塚東の市道で、近くの公園へ散歩中だった保育園児の列にライトバンが突っ込んだ。3歳から5歳の女児4人が死亡、園児と保育士の17人が重軽傷を負った。現場は速度規制のない生活道路のため当時の法定速度は60キロだった。
運転手の男は時速50~55キロで走行。「助手席に置いて聴いていた携帯型カセットプレーヤーのテープを入れ替えようとして脇見をした。気づいたら園児の列の直前で、ブレーキをかけたが間に合わなかった」と供述した。業務上過失致死傷罪で裁かれ、懲役5年が確定した。
全国初の取り組みへ
事故を受け、川口市の岡村幸四郎市長(当時)は「道路法令が通行人の安全に役立っていない。国に改善を求める」と決意。事故の翌月に国家公安委員会や警察庁、国土交通省を訪れ、罰則強化や、速度規制のない道路の法定速度60キロの引き下げ、ガードレールの設置基準見直しを政府に求める要望書を提出したが、理解を得られなかったという。
3年からはゾーン30と併せ、車の進入抑制のポールや路面を隆起させる「ハンプ」など車の減速を促す物理的なハード対策を組み合わせる「ゾーン30プラス」も導入。今年3月末時点で全国に249カ所が整備されている。



