2年前の夏、午後6時半ごろ。仕事を終えた35歳の女性が自宅に戻ると、玄関先に見知らぬ男女が立っていた。女性が近づくと、写真を示されて「この人が結婚しているって知っていますか」と問われた。その写真に写っていたのは、1年以上前から交際していた38歳の男性だった。玄関前の2人は男性の両親で、男性が7年前に結婚し、子どももいることを告げられた。
交際中に購入したおそろいの指輪と婚姻届
話を聞くうちに、これまで男性から聞かされていた説明が次々と嘘だと判明。女性は過呼吸になり、家の前の茂みに嘔吐した。交際中、女性は男性とおそろいの指輪を購入し、婚姻届も用意していたという。男性は婚活用のマッチングアプリで出会い、「独身」と称していた。
女性は「結婚を夢見て真剣に交際していた。すべてが嘘だったと知り、心が壊れた」と振り返る。男性の両親は息子の行動を知り、女性に真相を伝えるために訪れたという。
「独身偽装」の実態と法的措置
こうした「独身偽装」の被害は後を絶たない。マッチングアプリや婚活サイトで身分を偽るケースが多く、被害者は精神的苦痛だけでなく、金銭的被害を被ることもある。2025年には、妊娠後に「実は妻子がいる」と告げられた女性が男性に460万円の賠償を命じる判決が下されている。
専門家は「独身偽装は単なる道徳的問題ではなく、詐欺や不法行為に該当する可能性がある。被害者はためらわずに相談を」と指摘する。女性は現在、男性に対する法的措置を検討中だ。
SNSで広がる被害の声
SNS上では「#独身偽装」のハッシュタグで同様の体験談が多数投稿され、被害の広がりが浮き彫りになっている。あるユーザーは「相手の家族構成や戸籍謄本の確認を徹底すべき」と注意を呼びかける。
今回の女性は「同じ被害に遭う人を減らしたい」と、自らの経験を公表した。男性側は取材に対し「事実無根」と否定しているが、女性は「嘘を重ねて平然としている姿に怒りと悲しみでいっぱい」と語る。



