夫のギャンブル借金500万円超、相談先なく苦悩…大阪依存症対策センターに期待
夫のギャンブル借金500万円超、相談先なく苦悩…大阪対策センターに期待

関西在住の30歳代のパート女性は2年前、夫から競艇や競馬で500万円以上の借金があることを打ち明けられた。夫は借金を親族に肩代わりしてもらい、「もうやらない」と誓ったが、その後も隠れて消費者金融で金を借り、パチンコに行った。

女性は最初、睡眠不足の夫がかかりつけにしていたメンタルクリニックへの相談を勧めた。しかし、医師は「ギャンブルはほどほどに」と言うばかりで、事態は好転しなかった。夫も「依存症じゃない。すぐにやめられる」と言い張った。

女性はより専門的な病院を受診させることも考えたが、「連絡したら無理やり入院させられ、夫は仕事を失うのでは」とためらった。数か月悩んだ末、ネットで見つけた自助グループに匿名で電話した。

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自助グループでつながった支援

夫と足を運ぶと、同じくギャンブルへの依存に悩んできた人たちが親身に相談に乗ってくれた。夫は真面目にミーティングへ参加し、勧められた専門病院に通うことになった。無理に入院させられることも、仕事を辞める必要もなく、ほっとした。

女性は「『気軽に相談を』とは言われるけど、誰に相談していいのか分からなかった。気軽に行けて、『本当に依存症なの?』『入院は必要?』と本音で聞ける場所があれば、もっと早くにつながれたと思う」と話す。

大阪依存症対策センターの構想

大阪府と大阪市はカジノの開業に先駆け、2029年度に「大阪依存症対策センター(仮称)」を設置する。センターの役割を議論する府・市の「機能検討会議」では、「医療につながるまでをスピードアップできるように」「訪れたら何をすべきか整理してくれる。それがセンターの一番の意味だ」といった意見が相次いだ。会議は学識経験者や医療・福祉関係者、当事者団体のメンバーら12人が委員となり、23~24年に計4回開かれた。

府が25年に行った実態調査では、ギャンブル依存症の疑いやリスクがある成人は府内で2.9%と推計された。単純計算で20万人程度だが、専門の医療機関を受診したのは1055人(24年)にとどまる。センターにはこのギャップを埋めることが求められる。

開設に向けた課題

府幹部によると、センターの候補地には梅田や難波など相談者が訪れやすい場所が検討されている。ギャンブル依存症は相談者の約8割が仕事を抱えているとのデータがあるため、開館は午後からとなり、土日も開ける予定。生成AIの「チャットボット」を活用し、24時間対応も目指す。

センターは「入り口」にたどり着いた人を「ワンストップ」で医療機関や自助グループに橋渡しする役割が期待されるが、人材確保は未知数だ。府・市は医師やケースワーカー、保健師、心理士らを配置する。依存症の人は心身の問題に加え、借金や貧困、家族関係のこじれを抱えているケースが多く、相談の受け手には深い理解が必要となる。機能検討会議では「経験豊富なベテランが不可欠」との声が出た。

会議で座長を務めた「大阪精神医療センター」(枚方市)の岩田和彦院長は「精神科医の中でも、依存症の専門はわずか。人材をどう確保するかは、今後の大きな論点となる」と話す。

依存症の専門医療機関は府内に13施設あるが、人材に余裕があるわけではない。医師を常駐させられるかどうか、府依存症対策グループは「現時点では不透明」としており、連携している京都大や医療機関などに相談しているという。ケースワーカーらについては、府の「こころの健康総合センター」などから来てもらう案が出ているほか、段階的に採用を増やすことも検討している。

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依存症対策センターの開設は3年後に迫る。岩田院長は「相談者の求めに対応できる人材がいなければ、センターは『絵に描いた餅』になりかねない」と危機感を示す。