遺品整理19年、孤立死は誰にでも…「よくこんな仕事」と言われても続ける理由
遺品整理19年、孤立死は誰にでも…続ける理由

人が亡くなった後の部屋やゴミ屋敷を片づける遺品整理や特殊清掃の依頼が増えている。関西クリーンサービスの代表で僧侶でもある亀澤範行氏は、この仕事を19年続けている。きっかけは自身の祖母の遺品整理だった。

祖母の遺品が目の前で粉砕された衝撃

当時は「遺品整理」という言葉もなく、スマートフォンもなかったため、業者を検索して探すこともできなかった。市役所に問い合わせて紹介されたのは、地域の廃棄物処理業者だった。作業当日、トラックが何台も到着し、作業員たちは慣れた手つきで荷物を次々と運び出した。取り壊しが決まっている建物ということもあり、土足のまま家へ上がり込み、淡々と作業を進め、ゴミ収集車で次々と粉砕していった。

亀澤氏は「それを見て、胸が締めつけられた」と振り返る。祖母がいつも使っていた湯呑み茶碗が目の前でバリバリと砕かれ、大切にしていた人形や写真、家族の思い出が廃棄物として処分されていった。依頼しているのは自分たちのため、何も言えず黙って見ているしかなかった。

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「同じ思いを抱えている家族がきっとたくさんいる」

帰り道、1歳年下の弟と「こういうことって、需要があるんじゃないか。同じ思いを抱えている家族が、きっとたくさんいる」と話し、2人でこの仕事を始めることにした。しかし、最初の3年間は仕事らしい仕事はほとんどなく、近所のおばあちゃんの家のドアノブを交換して5000円もらうといった便利屋のような日々が続いた。

転機は、ある火災現場だった。いつも仕事を依頼してくれる高齢の女性が、親戚の家が火事で全焼し3人が亡くなったため片づけをしたいが、どこに頼んでいいかわからないと困っていた。あちこちに問い合わせたが、すべて断られたという。火災現場や中で人が死んでいる現場を嫌がる業者は今でも多い。亀澤氏は二つ返事で引き受けた。

「困っている人がいる。引き受ける人間が必要だ」

当時は仕事がほとんどなく選んでいる状況ではなかったが、作業が終わると女性はものすごく感謝してくれた。この「どこに頼んでいいかわからない状況」が、祖母の遺品整理のときに自分たちが感じたことと同じだと思ったという。「どんなに凄惨な現場でも、困っている人がいる。引き受ける人間が必要だ」と、これに特化してやっていこうと決めた。

「よくこんな仕事するよな」「いくら金をもらってもこんな仕事できない」と言われることも多い。亀澤氏は「確かにこの仕事を好んでやりたいという人は少ない。それは今も変わらない。しかし、誰かがやらなければならない仕事だ」と語る。ゴミ屋敷として放置されるケースも少なくなく、孤立や孤独死は誰にでも起こりうる問題だと警鐘を鳴らす。

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