国内有数の捕鯨基地となっている宮城県石巻市鮎川浜の捕鯨会社「鮎川捕鯨」が、仙台地裁に自己破産を申請した。東日本大震災も乗り越え、捕鯨文化を守ってきた地元資本の企業に終止符が打たれ、地域には驚きの声と文化継承への危機感が広がっている。県内で捕鯨を行うのは、鮎川浜に事業所を置く外房捕鯨(千葉県)のみとなった。
地域への貢献と衝撃
「共に鯨食文化を伝え、守る活動をしてきただけに非常に悲しい」。石巻くじら振興協議会の斎藤富嗣会長(66)は、そう肩を落とす。鮎川捕鯨は、市内の幼稚園、小中学校などの給食や70年以上続く「牡鹿鯨まつり」に鯨肉を提供するなど地域に貢献してきただけに、地元に衝撃が広がった。
経営悪化の経緯
同社は、宮城県沖や北海道沖で操業し、ミンククジラやツチクジラなどを捕獲して生肉や缶詰の販売をしていた。帝国データバンク仙台支店によると、2009年12月期に約4億7600万円の売上高を計上。11年の東日本大震災の津波で工場などを失ったが、12年11月に工場を再建するなどし、操業を続けた。
日本が19年に国際捕鯨委員会(IWC)を脱退すると、経営環境が変わった。鮎川捕鯨は商業捕鯨に移行し、捕獲量が経営に直結するようになった。漁場探索や販路確保のための補助金はあったが、水温上昇などで不漁が続いて業績が悪化し、6月に自己破産を申請した。負債総額は約5億5000万円だった。



