早稲田大学の3年生2人が、理工系キャンパス内にキッチンカーを出し、油そばを販売している。学生が構内で飲食店を営業するのは珍しく、連日行列ができる人気ぶりだ。
学生によるキッチンカー運営、大学の許可を得て実現
今月5日正午過ぎ、西早稲田キャンパス(東京都新宿区)の中庭に止められたキッチンカーの前に、学生らの長い列ができていた。しょうゆベースの油そばが定番メニューで、特製だれが細麺に絡み、揚げたニンニクの香ばしい匂いが食欲をそそる。他のメニューと合わせ、1日に計100杯売れることもある。
店は5月、基幹理工学部3年の田代蒼太さん(22)と加藤大志さん(21)が始めた。同キャンパスでは昼食時、実験で忙しく構外に出られない学生が学食に殺到し、中庭まで列が延びることもある。田代さんが混雑を減らそうと、今年2月にキッチンカーの運営を思いついた。
「4大油田」に倣い、理工系キャンパスで販売
油そばは中華麺を汁ではなく、しょうゆだれやごま油で味付けした料理だ。文系学部のある早稲田キャンパス周辺では「4大油田」と呼ばれる4店舗が人気を誇るが、西早稲田キャンパス付近には油そば店が少ない。「キッチンカーで販売すれば、支持されると思った」と田代さんは話す。
これまで学生が構内でキッチンカーを連日運営した例はなかった。田代さんは飲食店経営の本を読みあさり事業計画を策定し、加藤さんは食品衛生責任者の資格を取得。大学側に粘り強く交渉し、「学生に優しい価格帯にし、学業に影響が出ないようにすること」を条件に、今春営業許可が下りた。大学担当者は「真剣さが伝わってきた。学食の混雑緩和にもつながるため許可を出した」と振り返る。
新作「ハイオク」も登場、売上は130万円超
2人は車のリース会社からキッチンカーを調達し、保健所の許可も得た。メニュー開発は年間約250杯のラーメンを食べる加藤さんが担当し、約1か月半かけて味を完成させた。麺は有名店も使う埼玉県の製麺所から取り寄せている。
早大生は油そばを食べることを「給油する」と呼んでおり、しょうゆベースは「レギュラー」(800円)、塩とオリーブオイル、アンチョビーで洋風に仕上げたものは「軽油」(750円)と命名。メニュー表はガソリンスタンドの価格表風で、店名は「多くの学生に油そばを届けたい」との思いから「石油王」とした。
営業時間は平日午前11時半~午後5時。開業初日の5月13日には開店前から行列ができ、翌日には50~60人が並んだ。週4日注文する常連客も現れた。1学期は最終営業日の7月22日までに計約130万円を売り上げ、初期費用を回収。2学期は今月1日に営業を再開し、21日からはみそだれにスパイスを混ぜた新作「ハイオク」も販売している。
田代さんは「飲食は人を笑顔にできるのが魅力だ。学生アルバイトも約20人集まり、学業との両立もできている」と話す。加藤さんも「これからも1杯ずつ心を込めて作り、皆の記憶に残る油そばを提供していきたい」と意気込んでいる。