公共施設の清掃・警備業務の指名競争入札を巡る贈収賄事件で、一般社団・財団法人法違反に問われた和歌山県スポーツ振興財団事務局の元総務管理課長(51)と、ビル管理会社の元代表取締役(61)の両被告に対し、和歌山地裁(福島恵子裁判官)は31日、それぞれ無罪を言い渡した。
検察の求刑と弁護側の主張
検察側は元総務管理課長に懲役1年2月、元代表取締役に懲役1年を求刑していた。公判で弁護側は、元総務管理課長が同法の「事業に関するある種類又は特定の事項の委任を受けた使用人」に該当せず、犯罪の構成要件を満たしていないとして無罪を主張していた。
判決の理由
判決によると、元総務管理課長は財団が発注する業務の指名競争入札を巡り、事前に指名業者名などを漏らす見返りとして、2023年12月と24年6月に和歌山市内で元代表取締役から計100万円を受け取った。「使用人」に該当するには、財団を代理して幅広く決定できる権利が必要で、同財団の内規では元総務管理課長は課長として500万円未満の委託契約や入札を扱う場合に限り権利が与えられていた。
一方、今回の入札の契約金額は計5億6700万円で、500万円を超えていた。この場合、元総務管理課長は委託契約や入札の事務作業を上司と協議しながら行っており、上司も最終的な財団の意思決定に関与していたとして、地裁は「自分の判断で最終的な意思決定をし、遂行することができる状況に置かれていたとは認められない」と判断。福島裁判官は「元総務管理課長が元代表取締役の依頼に応じ、内規に反して秘密事項を漏らしたことは違法だが、賄賂の提供や受け取りが『使用人』である元総務管理課長の職務に関して行われたとはいえない」と結論づけた。
地検のコメント
地検の中嶋伸明・次席検事は「判決内容を精査し適切に対応したい」とコメントしている。



