埋葬2週間のネコの解剖依頼に獣医師が直面した真意とは
埋葬2週間のネコの解剖依頼、獣医師が語る真意

自宅の庭に埋葬して2週間が経ったころ、飼い主さんはたまたまぼくの記事を読み、死んだ動物の体の中で起こっていたことを調べる「病理解剖」というものがあることを知りました。そして「うちの子は最期にどれくらい苦しんだのか」「もっと早く安楽死を選択すべきだったのか」を知りたいと、病理解剖を依頼してきたのでした。

慢性腎臓病とネコの症状

慢性腎臓病は、腎機能がじわじわと低下していく病気で、中年期以降のネコに多くみられます。

腎臓は、血液を濾過して体内に生じた老廃物や余分な水分・塩分を排出したり、必要な成分は再吸収したりして、体液バランスを一定に保つ働きをもつ臓器です。その働きが低下すると、老廃物が体内にたまり、全身のさまざまな臓器に悪影響を引き起こします。

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慢性腎臓病が進んで、血液中の老廃物の濃度が高くなったり脱水が起きたりすると、口内炎を起こすことがあります。口の中に炎症ができて痛むと、餌を食べることが難しくなります。

解剖でわかることと限界

また、腎臓には赤血球の産生を促すホルモンをつくる働きもあるので、腎機能が低下するとこのホルモンが十分につくられなくなって、貧血を起こします。今回のネコも亡くなるころにはそのような状態だったと思われます。

大前提として、病理解剖だけで「どれくらい苦しかったのか」「もっと早く安楽死を選ぶべきだったのか」を断定することはできません。ただ、病変の様子を詳しく調べれば、ある程度のことを推測できます。

埋葬遺体の解剖の可能性

しかし今回の相談には、それ以前の大きな問題がありました。ネコが亡くなってからすでに2週間が経っており、その間ずっと遺体が土の中に埋められていたことです。

冬場なので、2週間前に土に埋められた遺体でも、ある程度の形は保っているかもしれません。病理解剖をすれば、長年患っていた慢性腎臓病の痕跡として、萎縮して小さくなった腎臓を肉眼で確認できる可能性はあります。

ただ、動物が死ぬと、その体を構成する細胞は自らの酵素によって壊れる「自己融解(ゆうかい)」を起こします。加えて、細菌などによる分解も進んでいるはずです。

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