ウクライナ軍第155機械化旅団の指揮官、スタニスラフ・ルチャノフ旅団長が、民間人殺害に関与したとして14日に拘束された。同旅団はフランスで訓練を受け「アンヌ・ド・キーウ(キエフ)」の愛称で知られるが、今回のスキャンダルでウクライナ国民の怒りが高まっている。
事件の経緯と容疑
ウクライナ警察によると、ルチャノフ被告は6月、騒音をめぐるトラブルからキーウ州で消息を絶った兄弟2人の拉致・殺害に関与した疑いが持たれている。ルチャノフ被告は14日、記者団に対し容疑を否認したが、首都キーウ南方のロキトネの裁判所は少なくとも60日間の勾留を決定した。
ウォロディミル・ゼレンスキー大統領によると、この事件で同旅団の他の複数メンバーを含む計10人が逮捕された。警察は、騒音をめぐる口論で兄弟に暴言を吐かれた女性の夫が、妻の「復讐」のために旅団メンバーを動員したと説明。一部のウクライナメディアはこの夫をルチャノフ被告と報じているが、警察は「現役軍人だ」と述べるにとどめている。
旅団の背景と問題
第155機械化旅団は、2024年のノルマンディー上陸作戦80周年記念式典で、フランスのエマニュエル・マクロン大統領とゼレンスキー大統領によって結成が発表された。フランス王家に嫁いだキーウ大公国の公女にちなんで「アンヌ・ド・キーウ」と命名され、フランス国内で数百人の兵士が訓練を受けた。
しかし、同旅団は2024年の結成以来、数百件に上る脱走報告や士気の低下、装備不足など複数のスキャンダルに揺れており、今回の事件はさらなる痛手となった。ルチャノフ被告は事件発生後に無許可離隊したため、すでに停職処分を受けていた。
社会的反響と政府の対応
世論の猛反発を受け、イーホル・クリメンコ内務相はこの事件について「後方における一部の兵士の行動をめぐる広範な議論を引き起こした」と認めた。クリメンコ内務相はSNSで「ギャングのような手法を用いてトラブルを解決することは断じて許されない」と批判した。
この事件は、ウクライナ軍内の規律問題や、戦時下における民間人とのトラブルの深刻さを浮き彫りにしている。フランスとの共同訓練の象徴であった旅団の信頼回復は容易ではないとみられる。



