難病ジストニアのリアル:医師すら知らない恐怖と診療の壁
難病ジストニアのリアル:医師すら知らない恐怖

手や足がまるで動きを拒むかのように、思うように動かせなくなる、あるいは勝手に動いてしまう――。悪夢のような神経疾患「ジストニア」の実態を、東洋経済の田邉佳介記者が自身の経験も交えて報告する。

ジストニアとは何か

ジストニアは、脳の異常によって筋肉が不随意に収縮し、異常な姿勢や動作を引き起こす神経疾患だ。局所性ジストニアでは特定の部位に症状が現れ、例えば書痙(書字時の手指の痙攣)や眼瞼痙攣(まばたきの制御不能)などが知られる。日本国内の調査によると、局所性ジストニアの有病率は人口10万人当たり6.1〜13.7人と報告されており、患者数が極めて少ないため、研究は積極的に進んでいない。

診療の難しさと医師の認知度

患者が少ないことに加え、医師の認知度も低いことが診療の壁となっている。ジストニアの知識を持ち、適切に診断・治療できる専門医は今なお少ない。記者も右手のジストニア患者であり、原因はタイピングとみられる。現在は人差し指1本でしかパソコンのキーボードを打てず、他の指は丸まったり伸びたりしてミスタッチが多く、実用に耐えない。趣味のピアノでも弾けないフレーズが増えたという。

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診断までの苦闘

記者は2023年夏頃から右手に違和感を覚えたが、整形外科やMRI検査では原因が特定できず、症状は悪化し続けた。ようやく2024年に大学病院の脳神経内科で診断されたものの、医師からは「本当に複雑な病気で、お役に立てることはない」と告げられた。このように、診断がついても有効な治療法が限られているのが現状だ。

情報不足と患者の孤立

ジストニアに関する情報は限られており、患者はしばしば孤立する。適切な医療機関にたどり着くまでに長期間を要することも多く、その間に症状が進行し、日常生活や職業に深刻な影響を及ぼす。記者の場合も、タイピングが困難になったことで仕事に支障が出ており、趣味のピアノも楽しめなくなった。ジストニアは「日常も職業も奪う」病気と言える。

専門医不足と今後の課題

ジストニアの診断と治療には専門的な知識が必要だが、日本では専門医の数が圧倒的に不足している。脳神経内科の中でも、ジストニアを専門とする医師はごく一部だ。このため、患者は適切な診断を受けることさえ難しい。研究の進展とともに、医師への教育や啓発活動の強化が求められている。

患者の声と希望

患者の中には、ボトックス注射や薬物療法、リハビリテーションなどで症状をコントロールしている人もいるが、効果には個人差が大きい。記者のように、医師から「お役に立てることはない」と言われるケースも少なくない。それでも、近年はジストニアに関する研究が少しずつ進み、国際的な患者団体や情報共有の場も増えている。早期発見と適切な治療へのアクセス向上が、患者のQOL(生活の質)改善につながることが期待される。

この記事は会員限定であり、残り1677文字が続く。ジストニアの実態と課題について、さらに深く掘り下げた内容が掲載されている。

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