昨年7月、香川県立高松北高(高松市)の部活動で、顧問だった教諭が部員に平手打ちをしてけがを負わせた。学校側は生徒の口から出血しているのを確認したと証言し、取材で関係者も事実を把握していた。
指針では「停職、減給または戒告」も、県教委は「厳重注意」
県教育委員会が2024年に策定した懲戒処分の指針では、標準例として、体罰で軽傷を負わせた教諭は「停職、減給または戒告の懲戒処分」と明記している。教諭の行為も該当すると思われた。
しかし、県教委は昨年9月、教諭に対し、懲戒処分より軽い口頭の厳重注意とした。淀谷圭三郎教育長は「けがと認められなかった」と説明する。
複数の不適切指導も判明、それでも処分は軽いまま
その後、教諭は平手打ちだけでなく、複数の部員に肉体的苦痛を与える「罰」を強要するなどしていたことが判明した。学校側は「体罰と捉えられる部分が十分ある」とし、教諭も聞き取りに事実関係を認めた。それでも、県教委が今年春に出したのは、懲戒よりも軽い文書訓告だった。
指針では、標準例よりも処分を重くする場合も五つ例示。その一つに「処分の対象となり得る複数の異なる非違行為を行っていたとき」を挙げており、教諭の複数回の不適切指導も当てはまるように思った。
教育長は「指針に沿って総合的に判断」、指針見直しを表明
これに対し、淀谷教育長は「指針に沿って総合的に判断した」と強調。処分は妥当だとした。これを野球で例えるなら、審判がルール通りにアウトと判定せず、「総合的な判断」で「セーフ」とするようなものではないか。
淀谷教育長は7月、懲戒処分の指針を見直すと表明。理由として「どういう場合にどういう処分になるのか、整理して明示する必要がある」と述べた。記者が指針を見る限り、現状の指針もわかりやすく、詳細に記されている。
ルールを変えるよりも、県教委が「ルールに則して判定する」と県民に明確に約束することが重要だ。指針からは読み取りにくい「総合的な判断」をしていては、県民や生徒、保護者の信頼は得られない。(植村卓司)



