日田市の国指定重要無形文化財「小鹿田焼」の制作に欠かせない薪の確保が難しくなる中、同市を拠点に木質バイオマス発電などを手がける「日本フォレスト」(森山和浩社長)が、発電に使う建築廃材の一部を小鹿田焼協同組合(坂本工理事長)に提供することになった。市役所で協定の締結式があり、森山社長は「小鹿田焼の未来のために、長きにわたって安定的に供給することを約束する」と語った。
小鹿田焼の特徴的な工程
薪を燃料にした登り窯による焼成は、唐臼を使った陶土づくりなどと並んで小鹿田焼を特徴づける工程の一つだ。9軒ある窯元のうち5軒は共同窯で、4軒は個人の窯で焼き上げている。
「袋」と呼ばれる焼成室が八つ連なる共同窯の場合、窯全体の温度を上げる「炙り焚き」に始まり、袋を下から順に焼き上げる「本焚き」を終えるまでに50~55時間。窯の温度は1200度を超えると言われ、陶工たちはこの間、大量の薪を黙々と投げ入れる。
薪の調達が困難に
炙り焚きには柱やはりなどの建築廃材が、本焚きには製材の過程で出る杉などの端材が薪として使われる。1回の窯焚きで使われる廃材は共同窯で約4トン。袋の数が少ない個人窯でも約2トンに上るという。
坂本理事長ら関係者によると、窯元はそれぞれ付き合いのある業者から薪を調達しているが、建築廃材はほとんどが産業廃棄物として処理されるため、必要量の確保が年々難しくなっている。
協定の内容と期待
建築廃材を含む木質資源・廃棄物をチップ状に加工して発電に使うなどしている日本フォレストに相談したところ、同社が加工前の廃材を厳選し、薪として最適な状態で供給することで了承を得た。費用は運賃を含め1トンあたり1000円。同社は「小鹿田焼という伝統文化に貢献することを名誉とし、利益を目的としない協力体制を構築する」としている。
7月下旬に行われた締結式では椋野美智子市長が立会人を務め、3者が協定書に署名した。坂本理事長は「薪の確保に四苦八苦するようになって約30年。(小鹿田焼が)次世代につながる道筋ができた」と安堵した様子で話した。



