「自国主義の時代こそ」樺太引き揚げ者20人の写真展、新宿で開催
自国主義の時代こそ 樺太引き揚げ者20人の写真展

戦後81年目の夏、かつて日本の領土だった樺太(サハリン)から引き揚げた人々を記録した写真展「故郷は遠きに―樺太をあとにした人々―」が、東京都新宿区新宿1丁目の「PlaceM」で7月27日から8月2日まで開催される。入場は無料。

引き揚げ者20人の肖像と証言

写真展には、80~90歳代の引き揚げ者20人のモノクロ肖像写真や現地のカラー写真など計43点が展示される。会場では、当時の記憶を語るインタビュー動画も放映予定だ。撮影者は東京都杉並区在住の写真家・広瀬明代さん(62)。朝日新聞社で15年間写真記者として勤務後、フリーランスとなった。

広瀬さんは夫の仕事でモスクワに2年間滞在したが、ロシア極東を訪れたことはなかった。2019年8月に初めてサハリンを訪問。巨大な王子製紙工場跡や、社殿が失われた神社の石段を見学。博物館で日本で見かけるような食器を目にし、当時そこで暮らした日本人の話を聞きたいと強く思ったという。

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全国樺太連盟の紹介から20人へ

帰国後、樺太引き揚げ者と子孫の相互扶助や伝承を行っていた「全国樺太連盟」(2021年3月解散)を訪問。同連盟の紹介で最初の被写体に出会い、そこから取材を広げて最終的に20人の肖像を撮影した。広瀬さんは「暗室で被写体と対話しながら焼き付けた。手作りの写真の風合いをみてほしい」と語る。被写体となった20人のうち、すでに3人が亡くなったという。

1905年から40年間、日本の領土だった樺太には終戦時、約40万人の日本人が居住していた。ソ連軍の侵攻・占領により、多くの人々が北海道などへ引き揚げを余儀なくされた。

「戦争の実情を継承する責任」

広瀬さんは「証言する人は少なくなっている。世界で戦争が起き、自国主義が走っている時代だからこそ、かつてあった戦争の実情を継承していかなくてはいけない。特に若い人に戦争の愚かさ、悲惨さを感じてほしい」と訴える。

本展は、戦争の記憶が風化しつつある今、歴史の証人たちの姿を後世に伝える貴重な機会となる。

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