カンボジアでの臓器移植を巡る不正で、元NPO法人理事長ら3人が臓器移植法違反(有償斡旋)の容疑で警視庁に逮捕された。驚くべきことに、この元理事長は2023年にもベラルーシでの移植斡旋で有罪判決を受け、今年1月から服役中だったが、保釈中に再び同様の不正を繰り返していた。
事件の概要と容疑内容
警視庁の発表によると、元理事長らは2025年11月から12月にかけて、都内の男性から約1200万円を振り込ませ、カンボジアの病院で生体腎移植を受けさせた疑いが持たれている。受け取った現金の多くは借金返済に充てられたとみられている。元理事長は既に解散したNPO法人「難病患者支援の会」を通じて、2023年にもベラルーシでの移植を無許可で斡旋したとして逮捕され、裁判では無罪を主張したが有罪判決が確定。今年1月から服役中だったが、保釈中にカンボジアでの斡旋を行っていた。
国内の臓器移植の現状
この事件の背景には、国内の臓器移植希望者が1万7000人を超える一方で、臓器提供数が限られているという深刻な現実がある。厚生労働省の2023年の調査によると、海外で移植を受けて帰国した患者は全国に500人以上おり、仲介団体は少なくとも四つ確認されている。しかし、それに乗じて罪を重ねることは許されるべきではない。
国の監視体制の不備
カンボジアでの臓器斡旋は、前回とは別の支援団体を通じて行われていた。一度摘発されても、すぐに似た手法で海外での斡旋ができてしまう事実は、国の監視体制の不備を如実に示している。現在、米国などごく一部の国では移植を希望する外国人患者を正式に受け入れる場合もあるが、どの国も提供臓器が充足しているわけではなく、「自国の患者は自国で」が国際社会の原則である。また、途上国などに渡航して移植を受ける「移植ツーリズム」は臓器売買につながりやすい。
求められる規制強化とリスク周知
不透明な海外移植を野放しにせず、国は実効性のある防止策を講じるべきだ。具体的には、臓器移植の支援に関わる団体について、海外での移植も含めて国が情報を集約して管理し、違反があれば罰することができるような仕組みをつくるなど、規制の強化を検討する必要がある。さらに、海外で移植を受けられたとしても違法な手術の可能性があり、安全性の確保も危うい。必要な診療情報が共有されず、帰国後、国内の医療機関で適切な医療が受けられなくなる恐れもある。行政や医療関係者は、患者にリスクを周知することも重要だ。



