公益財団法人金沢芸術創造財団が能登復興につながる文化活動を助成する事業で、2025年度に計25件の不正受給があり、当時の財団関係者2人が領収書を偽造していたことがわかった。財団が20日に発表した。2人の役職などについては「個人の特定につながる」として明らかにしていない。
助成事業の仕組みと不正の経緯
財団は金沢市の外郭団体。助成事業は2024年12月、市の全額補助で始めた。能登半島地震や奥能登豪雨の被災者を招待する催しなどを開く団体・個人に、上限50万円(個人は20万円)を助成するというものだ。
イベントの主催者が申請し、採択されると、イベント後に領収書を添付した実績報告書を提出。財団が助成額を確定し、主催者側に振り込む流れという。
財団によると、不正が確認されたのは12の団体・個人が主催した25件。いずれの主催者も、財団への提出書類の作成を財団関係者(当時)のA氏に任せていたことがわかった。「書類を作ってくれるので、事務的な負担を減らせる」として、別の財団関係者B氏からA氏を紹介されたケースもあったという。
偽造領収書の手口と発覚のきっかけ
A氏は実績報告書を作る際、チラシのデザイン・印刷代など複数の費目をまとめて「印刷物一式」とする架空の領収書を偽造していたという。A氏は財団の調査に対し「復興支援の輪を広げたくて書類作成を引き受けたが、件数が多くなり、事務処理が追いつかなくなった」と説明。偽造領収書の発行者の名義は実在する人物で、B氏がA氏に使ってよいと伝えていたという。発行者とされた人物は、名前が記載されていることを知らなかった、と財団に説明したという。
財団によると、主催者の1人が、領収書に見知らぬ人名が記されていることに気づき、今年4月に財団に相談。財団が調査していた。偽造領収書はいずれもパソコンで作成されていたといい、今後は署名や押印を必須にするという。
過払いの返還と今後の対応
財団は不正受給の確認後、イベント25件の主催者に対し、本物の領収書を付けた報告書を出し直すよう指示。うち13件で計41万3千円の過払いが判明し、主催した8団体・個人に返還を求めた。
財団は、助成金や主催者からの謝礼がA、B両氏に渡った事実は確認されなかったとしている。A氏は3月に退任、B氏は問題発覚後に辞任しており、刑事告訴の予定もないという。財団はこの復興支援事業で、2025年度に約3500万円(101件)を助成。2026年度も継続している。



