熊本県八代市の日本製紙八代工場で7月28日の地震により煙突が倒壊し、従業員ら9人が死亡した事故で、同社は5日、地震後初めて八代市で記者会見を開いた。瀬辺明社長は「本当にこれ以上ない悲しく、つらい出来事」と述べ、自身も同工場で勤務した経験があることを明かし、沈痛な表情を浮かべた。
電源喪失で通報できず
同社によると、地震発生時、工場内では従業員や関連会社、取引先の社員ら計414人が働いていた。激しい揺れで電源が失われたといい、会見に同席した山辺義貞工場長は「正直、何もできなかった」と振り返った。
煙突の倒壊で従業員らは2階建ての事務所に閉じ込められたが、110番も119番もつながらなかった。約40分後、被害を免れた従業員が消防に勤務する親族に救助を要請したという。
救助活動と被害状況
駆けつけた消防や自衛隊員らが手作業でがれきを取り除き、閉じ込められた11人を7月30日までに救助したものの、うち9人の死亡が確認された。八代広域行政事務組合消防本部によると、9人は30~60歳代の男性という。
同社によると、80メートルの煙突は日常的にひびやサビの有無を目視で確認していたが、大がかりな点検は2006年が最後だった。工場にある5本の煙突のうち、鉄筋コンクリート製の70メートルのものも倒れ、繊維強化プラスチック製の110メートルの煙突も損傷した。
今後の対応
同社は会見で、煙突の耐震性などについて「調査中」と回答し、調査委員会を通じて明らかにする意向を示した。経済産業省からは被害がなかった煙突も含めて点検するよう指示があり、必要に応じて補強や更新を行うという。
同工場は1924年に操業を開始し、新聞用紙や印刷用紙などを製造している。瀬辺社長は復旧の見通しについては明言を避けたが、工場の存在を「地域の人に支えられて今日まで成長してきた」と強調した。



