奈良県の判断に「不合理な点」、「裁量権の逸脱、乱用」と断じた判決
奈良県平群町(へぐりちょう)のメガソーラーをめぐり、下流域住民が奈良県に対し林地開発許可の取り消しを求めた裁判で、大阪高等裁判所は6月18日、住民の主張を認め、開発許可を取り消す判決を言い渡した。一審奈良地裁で主張を退けられた住民22人が控訴していた。県の審査そのものが「違法」と訴えてきた住民側が逆転勝訴した形だ。メガソーラーに関連した林地開発許可については近年批判が高まっているが、許可を取り消した判決が出たのは初めてとみられる。
このメガソーラーは事業者が協栄ソーラーステーション合同会社(東京)で、正式名称は「生駒平群太陽光発電所」。山林約48ヘクタールを切り土、盛り土により造成して約5万3000枚の太陽光パネルを設置する。出力は2万キロワット以上。奈良県は2019年11月に林地開発の許可を出した。その後、事業を継承した現在の事業者が林地開発許可の変更申請を出し、2023年2月、奈良県が再び許可を下ろした。
判決は、奈良県の判断過程について「看過しがたい不合理な点」があり、審査基準の設定とその運用について、「裁量権の逸脱または乱用があると判断する」とした。主な争点は、事業者が計画し、県が許可した「調整池」の容量が十分かどうかだった。大雨の際にメガソーラーの敷地内から雨水をそのまま下流の河川や水路に出すのではなく、いったん敷地内に設けた調整池に貯めることが求められている。開発に伴い必要とされているルールで、都市計画法や森林法で定められている。
弁護士が「ほっとした」、原告住民や「考える会」が判決を歓迎
判決後、原告住民の代理人を務めた弁護士は「ほっとした」と述べ、一審での敗訴から逆転勝訴に至った意義を強調した。原告住民や「平群のメガソーラーを考える会」のメンバーは判決を歓迎し、長年にわたる訴訟活動が実を結んだと喜びを語った。住民側は、調整池の容量不足により豪雨時に下流で洪水が発生する危険性を訴えており、今回の判決はその主張が認められた形だ。
平群のメガソーラーと国・自治体の規制強化
近年、全国各地でメガソーラー開発に伴う環境破壊や災害リスクが指摘され、国や自治体は規制を強化する動きを見せている。今回の判決は、林地開発許可の審査における自治体の裁量権に一石を投じるものとして注目される。今後、類似の訴訟や規制見直しに影響を与える可能性がある。



