奈良県平群町のメガソーラー開発をめぐり、大阪高裁は2026年6月19日、奈良県が事業者に与えた林地開発許可を取り消す判決を言い渡した。一審の奈良地裁が住民の訴えを退けたのに対し、高裁は住民側の主張を全面的に認め、異例の逆転勝訴となった。
審査基準の不備を指摘
判決は、奈良県が調整池の必要容量を算出する際に用いた「大和川基準」と「ゴルフ場基準」の組み合わせが不適切だと判断。原告住民は、下流域の河川や水路が狭く水を流す能力が不足する場合には「厳密計算法」を用いるべきだと主張していた。県はこれを独自の見解として否定したが、高裁は「厳密計算法を採用すべきである」と述べ、その計算によれば4つの調整池すべてが事業者の計画容量では不足することを明示した。
さらに判決は、県が10時間連続雨量147mmを基準としている点を批判。大阪府生駒山観測所の49年間の記録では、日降水量147mm超が5回観測されており、「想定を上回る降雨があれば、下流河川の流下能力を超える水量が流出し、水害や土砂災害のおそれがある」と警鐘を鳴らした。
住宅地に迫る危険
平群町は大阪近郊のベッドタウンで、山の中腹からふもとにかけて住宅が密集する。メガソーラー造成地から約800m離れた「椿台」(約500世帯)は、造成地から流れ下る川や水路に囲まれており、住民は大雨による土砂災害を危惧。2023年8月に許可取り消し訴訟を提起した。
歓喜の判決
午後2時、長谷部幸弥裁判長が主文を言い渡すと、傍聴席から拍手が起こり、裁判長が振り返って制止する一幕も。住民たちの緊張した表情に笑顔が戻った。弁護団の室谷悠子弁護士は「一審後も危険な工事が止まらず、あきらめずにやってきた。ほっとしました」と語った。
今後の規制強化へ
本判決は、全国のメガソーラー開発における林地開発許可の審査に影響を与える可能性がある。国や自治体の規制強化が進む中、住民の安全を守る新たな一歩となる。



