沖縄県名護市辺野古沖で船2隻が転覆し、平和学習中だった同志社国際高校(京都府)2年の武石知華(ともか)さん(17)ら2人が死亡した事故で、学校側が安全管理の意識を全く持ち合わせていなかった実態が明らかになった。修学旅行中の事故を巡る過去の裁判例は、下見などを行い安全性を確保することを「学校の義務」と判示している。教訓が生かされることなく起きた今回の事故で、同校側が損害賠償責任を負うのは確実とみられている。
特別調査委員会の報告書が認定した安全配慮義務違反
学校法人が7月31日に公表した特別調査委員会(第三者委員会)の報告書では、学校側の民事責任について「明らかに安全配慮義務違反がある」と言い切った。
特別調査委員会が認定した同志社国際高校側の安全配慮義務違反は、具体的には以下の3点が指摘された。
- 事前調査義務違反
- 安全性を確保した計画を策定し実施する義務違反
- 生徒や保護者への事前の説明義務違反
事前調査としては、現地を下見し、船の大きさや性能、航路、海域の安全性、法令を満たしているかなどを確認する必要があったとした。
過去の裁判例が示す学校の義務
修学旅行での安全配慮義務の水準を示す上で、根拠として触れたのは2件の裁判例だった。
1件目は昭和63年に高知県の私立高校が中国に修学旅行中、列車の正面衝突で生徒27人と教員1人が死亡した「上海列車事故」だ。遺族が学校側を訴えた訴訟で、平成6年の高知地裁判決は、修学旅行の企画や実施に際して、学校は危険が生じないよう「安全性を調査・確認する義務を負っている」と判示した。
さらに旅行代理店が安全管理を行う場合でも、学校側は〝丸投げ〟することなく、独自に安全性の判断をすべきだと強調。列車を下見していないことなどを踏まえ「事前調査を怠った」と認定した。だが、調査していても事故の予見・回避はできなかったとして損害賠償請求自体は退けた。
一方、学校側に賠償を命じたのが、18年に横浜市立高校の生徒2人が、沖縄への修学旅行中に死亡した水難事故だ。



