児童養護施設などで育ち、社会に出た「ケアリーバー」と呼ばれる若者たちが集まり、悩みなどを互いに打ち明ける「居酒屋」が月1回、広島県大竹市内で開かれている。ケアリーバーは頼れる人が近くにいないことから、孤独感や不安感に悩まされることも少なくないという。企画したNPOの関係者は「この企画で人脈を深め、社会に慣れていってほしい」としている。
「居酒屋けいこ」の概要
ケアリーバー向けの企画「居酒屋けいこ」は、子育て支援などに取り組むNPO法人「とりで」(山口県岩国市)が、2025年4月に始めた。同法人が所有する大竹市内の民家に5~10人のケアリーバーが集まり、料理や酒を楽しみつつ、仕事に関する話や私生活の相談などを打ち明けていく。
参加は無料で、パート女性(20)は「仕事の話を聞いてもらい、心が楽になった」と話した。
手作り料理と交流の場
唐揚げやごぼうのかき揚げといった料理は、同法人の職員、村上恵子さん(52)が手作りで用意する。企画名は、村上さんの名前にちなんだ。村上さんは「誰かと話すことで、(参加者たちが)刺激を受ける場所を作りたかった」と語る。
ケアリーバーの実態
児童養護施設などから出たばかりのケアリーバーたちは悩みを抱えがちだ。大手調査研究会社が2020年~21年、全国のケアリーバーに対して実施した実態調査(約3000人が回答)では、現在の暮らしの中で困っていることや不安なこと、心配なこと(複数回答)として、「人間関係」(20.6%)、「孤独感」(12.7%)などを挙げた。
集団生活を送っていた施設を成人などのタイミングで退所すると、社会に出て1人で生活しなければならない。居酒屋けいこに参加した女性は、施設を出た直後について「悩みがあっても頼る相手もおらず、さみしかった」と振り返る。中には、誰にも相談ができずに、仕事や住まいも失うケースもあるという。
今後の展望
居酒屋けいこはすでに1年を超え、今後も定期的に実施していく予定だ。NPO法人の金本秀韓理事長は「(施設で育った人の中には)慣れない場所や緊張が苦手な人も多いが、この取り組みで参加者同士で仕事や将来の話などをしてもらい、人としての幅を広げていってくれれば。今後は、ここで知り合ったケアリーバー同士で関係を深めていってほしい」と話した。



