「みんなで大家さん」2000億円集め返済不能に 事業停止で出資者救済は?
「みんなで大家さん」2000億円集め返済不能に 事業停止で出資者救済は?

不動産投資商品「みんなで大家さん」を巡り、運営会社が事業停止に追い込まれた。約2000億円を集めた商品だが、出資者への返済は不能となっている。集団訴訟で勝訴しても、実際に資金が戻るかは別問題だ。

事業停止に追い込まれた「みんなで大家さん」

「みんなで大家さん」は、複数の投資家から少額ずつ資金を集め、不動産を購入し、得られた賃貸収入などの収益を分配する商品だ。年7%の高い利回りをうたって多額の資金を集めていた。

大阪府は9月1日、運営会社である「みんなで大家さん」に対して、不動産特定共同事業法に基づく事業許可を取り消した。東京都も同日、子会社で同商品の販売代理店を務めていた「みんなで大家さん販売」(東京都中央区)の許可を取り消している。

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許可取消の理由は、出資者への適切な説明がなされていない、大部分の事業超過に関わっている、勝者が遅延している、過去の行政指導を実施していなかった点などだという。大阪府は「事業参加者への損害を速やかに解消することが期待できない」と説明し、東京都は「違反行為は情報が特に重いと認められる」としている。

集団訴訟も返済に至らず

「みんなで大家さん」を巡っては、出資者が返金を求める集団訴訟を起こしている。3月26日に大阪地裁が出資者3人に約1714万円の全額返還を命じ、6月5日には84人に約4億5500万円、6月10日には60人に約3億5000万円の全額返還を命じた。3件とも出資者側の全面勝訴だ。

しかし、判決通りに払う原資が残されていない可能性も考えられる。原資の正当性が証明されることと現金が実際に手元に戻ることは全く別の問題だ。ない袖は振れない。運営会社には、判決通りに払う原資が残されていない可能性も考えられる。

この点で、「みんなで大家さん」事件は、投資家に対する「事業停止リスク」が高まった時、投資家は何をすべきなのかを考えるための教科書的な題材となる。

約2000億円を集めた商品の実態

「みんなで大家さん」の主力商品が、成田空港の近辺で計画されていた開発プロジェクト用地を扱う「シリーズ成田」だ。想定利回りは年7%、出資金は1口100万円だった。同シリーズを中心に、2025年11月時点で約3万8000人から約2000億円を集めたとされる。

2024年6月17日、東京都と大阪府が業務の一部停止処分を出した。東京都が処分を公表してから約24時間で、成田商品の出資者約400人が解約を申請。その額は約28億円に上った。大阪府でも公表後24時間で、約470人が契約上の地位の移転や解約を申し出たことが分かっている。

その後も、投資商品の販売は続いた。2025年4月1日以降、テナントであるグループ会社からの賃料が入っていないにもかかわらず複数の商品を販売。出資者に賃料未収を明らかにしたのは7月31日だった。大阪府は、この期間に同社が6億円以上を集めたと認定している。

2025年11月末、成田空港会社は、シリーズ成田で扱う開発用地の4割にあたる土地の賃貸借契約を終了した。「継続工事の実行可能性を確認できなかった」というのが理由である。残り資産約2000億円のうち1500億円超を占める中核事業の土地が消えた。

同月には、全国の出資者1191人が運営会社に対して出資金の返還などを求めて集団訴訟を起こした。2026年2月10日に、運営会社は集団訴訟の原告側に、手数料を差し引いた出資金を分割で全額返還する和解を申し出た。

しかし、原告側は「分割では途中で支払いが絶え、全額が返還されなくなる恐れがある」として、和解を拒否したとされている。そこから約半年後に、会社は事業許可を失い、新規の募集と販売ができなくなった。

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「全額返済」にこだわると損にはまる

原告の懸念通り、分割払いは途中で止まっていた可能性が高い。ただし、全額返還の判決を確定させるまでの7カ月で、運営会社の資産が減っていった。判決で確定した「全額」は、確定した時点で残っている資産からしか払われない。

「全額返済」にこだわると、損にはまる。どうする投資家。関連記事では、事業停止に追い込まれた企業の事例も紹介している。