2026年5月、プレジデントオンラインで人気を集めた記事の一つが、クマの生態に迫る内容だ。社会部門第2位にランクインしたこの記事では、日本ツキノワグマ研究所所長の米田一彦氏が、オスグマのペニスボーン(陰茎骨)の存在と、メスが交尾を拒否するメカニズムについて解説している。
交尾期の変化と危険性
米田氏によれば、野生のクマが交尾するのは初夏の時期だが、最近では暖冬の影響で交尾期が通常の6月から5月に早まっている。これにより、クマが人を襲うなど危険レベルに達しているという。オスのクマは人間にはないペニスボーンを使って交尾を行う点が特徴的だ。
ペニスボーンとは何か
哺乳類の中で陰茎骨を持たない動物は人間を含めて少数派だが、クマには立派な陰茎骨が備わっている。米田氏は、体重の重い軽いにかかわらず、陰茎骨の長さや太さは変わらないと指摘する。サルでは陰茎骨が長いほど交尾に有利だが、クマの場合は歳を重ねて体が大きくなり他のオスを制圧できるため、陰茎骨が長くなる必要がなかった可能性がある。
メスの拒否権
力で劣るメスグマにも交尾を拒否する方法がある。米田氏は、メスが粗暴なオスとの交尾を避ける仕組みについて詳述している。具体的なメカニズムは、メスが体を地面や木にこすりつける行動などが関連しているとみられる。
クマの健康状態と生態
繁殖適齢期のオスグマは睾丸が大きく重く、秋でも陰茎を露出しているのは、十分な餌を摂れて体力が余っている証拠だ。一方、老獣になると睾丸が小さくなり、後ろ姿が貧相になる。クマの大出没の前兆は8月に顕著で、凶作の影響を最初に受けるのは病弱や高齢の個体だ。
人間の欲望とクマの死体
記事では、鉄棒で突き回され、最後に頭を銃で撃たれ、腹を割られ左前足をもがれたクマの死体が、人間の恐ろしい欲望を物語っていると述べられている。米田氏は、クマのフンから食べたものが分かることや、鮮やかなグリーンのフンには注意が必要なことなど、観察に基づく知見も紹介している。
本稿は、米田一彦氏の著書『家に帰ったらクマがいた』(PHP新書)の一部を再編集したものだ。



