熊本地震で大きな被害を受けた八代市、宇城市、氷川町の3首長が読売新聞のインタビューに応じ、それぞれの自治体が抱える課題を明らかにした。3市町では死者28人、住宅被害1万戸以上が確認され、断水は最大約4万6000戸で発生。首長らは井戸の復旧や仮設住宅の用地確保など独自の課題を挙げ、国や県に対し中長期的な人的支援の必要性を訴えた。
発生直後の対応と想定外の事態
インタビューは21日と23日に実施され、地震発生直後の対応や現在の課題、国への要望などが尋ねられた。3首長とも発生当初は「住民の命を守る行動を最優先に行った」とし、患者の救急搬送や倒壊家屋からの救助活動の指揮に追われたという。
八代市の小野泰輔市長は「救急搬送が多く、病院では断水や停電も起きた。優先度の高い重症患者をどう搬送するかといったことに力を入れた」と振り返った。3市町とも事前に作成した地域防災計画や事業継続計画に基づき、避難所運営や関係機関との調整を行ったが、想定外の事態も発生した。
氷川町の藤本一臣町長は2016年の熊本地震と比較し、「今回は電気や水道のライフラインが閉ざされ、計画通り使えない避難所もあった」と指摘。小野市長も「避難所に職員が出て、マンパワーが不足した」と述べた。宇城市の末松直洋市長は「避難所の定員以上に避難者が殺到したことがあった。計画通りだったかは後から検証しないといけない」と話した。
自治体独自の課題と国への要望
自治体独自の課題として、小野市長は井戸を挙げた。井戸水に頼る地域で水が出なかったり、出ても濁ったりしている住宅が約4400世帯あるといい、修理を行える業者は市内に3軒しかなく、「5年待ちと言われた人もいる」と明かした。
藤本町長は、町内の多くの土地が浸水想定区域にあり、仮設住宅の建設地確保に苦労していると回答。「町内39地区それぞれに、3戸以上仮設住宅を建てられる場所がないかを各区長に確認している」と説明した。
また3首長とも、避難所外避難者の把握が難しいと答えた。一方で、医師や保健師らが被災者の健康状態を確認したり、県警の警察官が車中泊の避難者を巡回したりするなどして関連死を防ぐ対策を講じている。
今後国に求めることとして、3首長はいずれも土木や農業施設の復旧工事にあたる技術職員らの中長期的な支援を挙げた。3市町は農業が盛んな地域で、末松市長は「市職員だけでは足りず、全国から短期でも長期でも来てもらえたら助かる。生活やなりわいの再建のために必要」と訴えた。



