熊本地震で被災した人たちの多くは、自治体が指定する避難所で暮らす。頑丈な建物で一定程度の物資供給を見込める場所だが、様々な理由から避難所の利用をためらう障害者がいる。自治体も、福祉的な設備が整う避難所を開設したり、2次避難先のホテルなどを確保したりしているが、支援の手が届きづらい現状がある。
八代市のグループホームでの選択
最大で震度6強を観測した熊本県八代市。市内のグループホームで働く生活支援員の女性(42)は被災後、悩みを抱えていた。入居している男性2人を避難所へ連れて行くべきかどうかだ。
施設の建物は築40年以上の住宅を改修したもので、地震で壁の一部にひびが入った。余震によってさらに壊れるおそれもある。
それでも女性は、2人を避難所へ連れて行かないことを選んだ。
入居者の負担を考慮
心配だったのは、避難所で暮らすことによる本人たちの大きな負担だった。
入居者の一人で、知的障害のある60代男性は、初めての場所や人が多い場所が苦手だという。
環境に慣れるまで時間がかかるため、女性は「避難所で生活したときにストレスでどうなってしまうか分からない」と話す。
男性には落ち着きなく動き回る傾向があり、独り言も多いという。
「避難生活で負荷がかかっている他の避難者を刺激するのは申し訳ない」。女性はそうも語る。「どんなことになるか想像できない」
もう一人の入居者である50代の男性も、同様の特性があるとみられる。



