滋賀県文化財保護協会は16日、高島市安曇川町の上御殿遺跡で、弥生時代後期から古墳時代前期(3世紀頃)にかけての鍛冶工房とみられる竪穴建物跡2棟が新たに見つかったと発表した。同遺跡からは北陸地方で製作された土器も出土しており、これまで瀬戸内海経由で近畿に伝わったとされてきた鍛冶技術が、日本海経由でも伝来した可能性を示す重要な発見と位置づけられている。
大規模集落の西側で発見
同協会が2024年度から実施している発掘調査の一環で、これまでに23棟の竪穴建物跡が確認され、大規模な集落が存在していたことが判明している。今回新たに11棟分の建物跡を確認し、集落がさらに西側に広がっていたことが明らかになった。そのうち最西部に位置する2棟の建物跡には、床面から数センチメートルかさ上げされた複数の炉が設けられていた。
高温を示す炉の痕跡
炉の周辺の土は赤みが濃く、非常に硬く焼け締まっていた。この特徴から、通常の煮炊きよりも高温を必要とする鍛冶作業に使用された可能性が高いとみられている。また、これらの建物は他の密集した建物跡から約50メートル離れた場所に立地しており、火災の延焼を避ける意図があったと考えられている。
多様な地域からの土器
遺跡からは北陸地方の土器に加え、北近畿や湖南地域から持ち込まれた土器も出土した。同協会は「この時代の人・モノ・技術の動きの中で、高島地域の重要性を示すものと言える」とコメント。鍛冶技術の伝来ルートとして、従来の瀬戸内ルートに加え、日本海を経由するルートが存在した可能性を指摘している。
今後の調査計画
同協会は今後、炉の形状や周辺の土壌を詳細に分析し、そこで実際に製造されていた道具や技術の伝来ルートについて研究を進める方針。現地説明会は19日午後1時から開催される。問い合わせは同協会(077-548-9780)まで。



