福島県で6月、違法な盛り土をつくったとして、土砂処分業の会社役員(61)が逮捕された事件があった。会社役員は取材に対し「東京近郊の建設工事で出た土砂を福島に運んだ。ニーズがあった」と話し、必要悪だったと弁明した。5年前の静岡県熱海市での土石流災害をきっかけに規制が進んだ盛り土にいま、何が起きているのか。
「明らかにこの辺りの土ではない」「ここは穴場」
「コンクリート片や貝殻が混ざって、明らかにこの辺りの土ではない」
茨城県境に近い福島県矢祭町に住む男性は数年前、土砂を積んだダンプカーが自宅近くを行き来するのに気がついた。山道の先には高さ30メートルほどの盛り土ができていた。
この盛り土を違法に造成したとして、福島県警が逮捕したのが、茨城県の会社役員の男だった。県警によると、熱海の災害をきっかけにできた盛土規制法の違反容疑では全国初の逮捕者だった。
会社役員は矢祭町に土地を買い、2023年6月ごろから土砂の搬入を始めたという。ダンプカーを目撃していた男性は「人口減で手放された土地が買われたのでは。ここは穴場なんだろう」とため息をついた。
北上する土砂「規制が甘くみえた」
会社役員は25年3月、別の盛り土事件で各地の条例違反や森林法違反の罪に問われ、宇都宮地裁で懲役2年8カ月の実刑判決(確定)を受けた。
この裁判での証言などから見えてきたのは、土砂の北上だ。首都圏では土砂の捨て場が不足しており、規制が比較的緩い地域に土砂が運ばれている実態が浮かび上がる。