連載『「不機嫌な職場」を科学する』では、津野香奈美氏が職場で見られる「グレーな行為」の実態に迫る。特に「ほんとにできているんでしょうねえ」といった、一見穏やかだが相手をじわじわと追い詰める言動が、うつ病などの深刻な精神疾患に至るケースが少なくないという。
「グレーな行為」の正体とは
職場でのハラスメントは明確なパワハラやセクハラだけでなく、グレーゾーンの行為が問題となっている。津野氏によれば、これらの行為は「明らかな違法性はないが、受け手に強いストレスを与える」点が特徴だ。例えば、上司が部下の仕事ぶりを「ほんとにできているんでしょうねえ」と疑うような口調で確認する行為は、一見すると指導の範囲内だが、繰り返されることで部下の自信を喪失させ、心理的負担を蓄積させる。
職場環境とメンタルヘルスの関連
日本の職場では、長時間労働や成果主義のプレッシャーが背景にあり、こうしたグレーな行為が放置されやすい。津野氏は「グレーな行為は証拠が残りにくく、被害者が声を上げにくい」と指摘。調査によれば、職場で精神疾患を発症した人の約3割が、明確なハラスメントではなく、こうした曖昧な行為をストレスの原因として挙げているというデータもある。
具体的な事例と影響
記事では、実際の事例として、上司が毎日のように「本当に大丈夫?」と声をかけ続けた結果、部下がうつ病を発症したケースが紹介されている。このような行為は「過保護」や「気遣い」と誤解されやすいが、実際には相手の能力を否定し、依存関係を生む危険性がある。津野氏は「職場の人間関係における『小さな否定』の積み重ねが、大きなダメージを与える」と警鐘を鳴らす。
企業に求められる対策
グレーな行為を防ぐためには、明確なガイドラインの策定と、管理職への教育が不可欠だ。津野氏は「上司自身が自分の言動を客観視できる仕組みが必要」と述べ、定期的なフィードバックや360度評価の導入を提案する。また、従業員が気軽に相談できる窓口の設置も重要で、早期発見・早期対応が被害を最小限に抑える鍵となる。
読者へのメッセージ
津野氏は最後に「職場の不機嫌さは、個人の責任ではなく、組織の文化に起因する」と強調。読者に対しては、自身の言動を振り返り、相手の立場に立ったコミュニケーションを心がけるよう促している。連載は、科学的な視点から職場の人間関係を見直すきっかけを提供している。



