広島平和記念資料館、子ども向けに「選択展示」導入へ 悲惨な資料避けて通れる
広島平和記念資料館、子ども向け「選択展示」導入へ 悲惨な資料避けて通れる

広島平和記念資料館は、2028年度に新設する子ども向けスペースに、悲惨な資料を避けて通れる「選択展示」の導入を決めた。有識者会議による議論を経ての決定で、凄惨な写真や絵の展示にストレスを感じる子どもに配慮し、見るか見ないかを自ら選べるエリアを設ける。

背景に「はだしのゲン」の作者の葛藤

漫画「はだしのゲン」の作者、中沢啓治さん(2012年に死去)は、原爆の炎に焼かれた広島市の自宅で父、姉、弟を失い、6歳の少年として原子野をさまよった。被爆しても60歳まで生きた母の死後、火葬場に残ったのは小さな骨だけだった。「原爆は母の骨まで奪っていくのか」と、その憤怒がペンを握らせたという。

同作が週刊少年ジャンプで始まったのは1973年。当時の心境を自著「はだしのゲン自伝」に記している。「甘い糖衣で包んで、子どもに見せれば『戦争と原爆はこんなものか』と甘く考えてなめてしまう」と、脳裏に焼きつく惨禍を描いた。だが「残酷すぎる」と批判も相次ぎ、「不本意だが描写方法を変えようと決めた」と記す。あれほど生々しい表現も、葛藤の末に残酷さを薄めていた。

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被爆者からは懸念の声も

原爆被害のリアルをどこまで伝えるか。資料館の選択展示に対し、被爆者からは「原爆のむごさを知る機会が失われてしまうのでは」と懸念の声が上がる。資料館は議論を続け、来春までに内容を詰める方針だ。

中沢さんならば何を語っただろうか。子どもたちの心に届く展示となることを願う。(広島総局長 神谷次郎)

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