神奈川県警厚木署は、自殺をしようとした男性を保護したとして、清川村宮ヶ瀬の高校2年大嶋千裕さん(16)に感謝状を贈呈した。7月31日に同署で行われた贈呈式で、千裕さんは「大切な命を救うことができて良かった」と語り、父で宮ヶ瀬駐在所の警察官の龍一さん(55)との見事な親子の連携が一つの命を救った。
部活帰りのバスから異変を察知
千裕さんは同9日午後7時頃、学校の部活帰りに自宅の同駐在所までバスで向かっていた。宮ヶ瀬湖にかかる橋の通過時に、窓の外を見ると、湖面をのぞき込む50歳代の男性を発見した。「真っ暗な中、一人で立っているのはおかしい」と感じ、バスが駐在所前に止まると、龍一さんに男性のことを報告。龍一さんは、すぐさま現場に駆けつけて男性を保護し、自殺を未然に防ぐことができた。
長年の経験を生かした対応
龍一さんは2005年4月から同駐在所に勤務している。付近の橋には自殺希望者が訪れることもあり、これまで多くの人を保護したり、フェンスに有刺鉄線をつけたりするなど対策をしてきた。千裕さんは命を救う龍一さんの姿を見て育ち、日頃から橋に人がいないか見ているという。
今回の保護には、龍一さんの長年の経験が生かされている。男性の元に駆けつけた龍一さんは最初に「そのために来たの?」と聞いた。「本人は目的を持って来ているので、言葉にしなくても反応で心の中が分かる」と話す。
落ち着くきっかけを与えるために、相手になるべく話をさせることを心がけている。龍一さんが優しく声をかけ続けたことで、初めは目的を濁して答えていた男性も、最後には自殺目的で来たことを認めた。保護に駆けつけたパトカーに乗るとき、男性は龍一さんに「ありがとうございました」と感謝を伝えたという。
署長も親子の連携を評価
感謝状を贈った同署の椎名啓之署長は「親子の連携プレーが非常に良かった」とたたえ、千裕さんは「これからも何かあったら、お父さんにすぐに知らせたい」と話した。
龍一さんは「見て見ぬふりをする人もいる中、(娘が)教えてくれて助けることにつながった。同じように不自然だと感じる人がいたら、通報してもらいたい」と話した。
県内の自殺者数は減少傾向
2025年の県内自殺者は、前年比111人減の1231人だったことが、県のまとめで分かった。人口10万人あたりの自殺者の数を示した「自殺死亡率」は1・2減の13・3となり、全国(平均15・6)では4番目に低かった。
発表によると、男性は前年比81人減の802人、女性が30人減の429人だった。年代別では50歳代が250人と最も多く、20歳代が178人、40歳代が172人の順だった。
原因や動機別(複数計上)では、うつ病などの健康問題が941人で最多。生活苦や借金などの経済・生活問題が382人、夫婦関係の不和など家庭問題が284人だった。
県は、24時間の電話相談(0120・821・606)を受け付けている。



