連続放火・保険金詐欺事件で、非現住建造物等放火や詐欺などの罪に問われた元保険調査員、深町優将被告(55)の初公判が20日、岡山地裁(三沢節史裁判長)で開かれた。被告は「(間違い)ありません」と起訴内容を認め、弁護側も争わない方針を示した。
「エース」と呼ばれた調査員の転落
被告は業界最大手の保険調査会社「損害保険リサーチ」(東京)に15年間在籍した後、独立。火災調査に精通し、「エース」と呼ぶ関係者もいた。初公判では紺色のスーツ姿で出廷し、約2時間半の審理の間、ときおり目を閉じながら静かに聞き入った。裁判長の問いかけにうなだれるように応じた。
起訴状によると、被告は共謀し、4~5年にわたり岐阜、北海道、岡山、青森の4道県で古民家や空きビルに放火。原因不明の出火を装い、保険金など計約1億2800万円をだまし取ったとされる。4件の審理はすべて岡山地裁に併合されている。
税金滞納と恩義が引き金に
冒頭陳述で検察側は、被告が「1000万円以上の税金の滞納で困っていた」と指摘。20年以上前に金融関係の仕事を通じて知り合ったグループの指示役、稲葉寛被告(58)=詐欺などの罪で起訴=に保険調査員をしていることや火災調査について話すうち、稲葉被告から放火や保険金詐欺を持ちかけられたとされる。被告は「保険金が得られれば税金を支払えることから引き受けた」と主張した。
検察側によると、深町被告は大学卒業後、金融などを扱う会社を経てリサーチ社に就職。稲葉被告とは令和3年ごろから頻繁に連絡を取り合うようになり、深町被告が独立して会社を設立する際には稲葉被告から100万円の出資を受けたこともあった。被告は、稲葉被告から「こんなことを他の人には頼めない」と言われたとされる。巨額の税金滞納に加え、出資への恩義から最終的に依頼を引き受けたが、約束されていた報酬は支払われなかったという。
調査員の知識を悪用
この日の証拠調べで検察側は、深町被告が稲葉被告を通じ、保険金請求などを担当したメンバーに保険会社や警察、消防などへの対応を助言していたと指摘。深町被告のスマートフォンには「想定質問と無難な回答」と題されたメモが残されていた。
次回公判は9月3日で、被告人質問が予定されている。



