セクハラ訴訟「ファーストボイス」映画化、全国上映中 初の会社責任問うた闘い
セクハラ訴訟「ファーストボイス」映画化、全国上映中

昭和から平成に移り変わる頃に起きた、職場でのセクシュアルハラスメントをめぐる訴訟に着想を得た映画「ファーストボイス」が全国で上映されている。日本で初めて会社側の責任が法廷で問われた訴訟で、映画は当時の関係者に取材したフィクションだ。

日本初のセクハラ裁判、福岡訴訟の軌跡

1989年、福岡市の出版社に勤める女性が上司から性的嫌がらせを受け退職を余儀なくされたとして、会社と上司の男性編集長を相手に損害賠償を求めて福岡地裁に提訴した。92年に出た判決は原告の主張の大半を認定し、原告が勝訴した。

映画プロデューサーの坂野かおりさんは2018年2月末、偶然読んだネット記事でこの訴訟を知った。原告女性の給与は編集長の3分の1で、仕事ぶりが周囲に評価されていたにもかかわらず上司からの嫌がらせで職を追われたと知り、驚いたという。

「最初の声」を映画に、制作の思い

坂野さんは「最初に声を上げた人を支え、弁護団と支援者が一緒に闘って勝った事実に励まされた。映画にしたいと思った」と振り返る。その後、弁護士や原告らへの取材を始めた。

試写会の後には、元弁護士の辻本育子さんと坂野さんが、裁判の内容や映画化の経緯などを語った。原告代理人を務めた元弁護士は「9割以上負ける…それでも正面から戦う意義がある」と当時を振り返る。

映画は、社会の常識を変えた「最初の声」を上げた訴訟と、映画制作に込められた人々の思いを伝えている。