龍谷大などの研究チームは、江戸時代の人々が現代人よりもミネラル豊富な食生活を送っていたことを、毛髪の分析で明らかにしたと発表した。毛髪は当時出版された本の和紙に混入していたものを活用した。ぬかが残った米や魚を中心とする食事の影響とみられる。論文は国際科学誌に掲載された。
和本の再生紙に含まれる毛髪を分析
チームは、当時の和本の表紙には古紙をすき直した再生紙が広く使われ、毛髪が埋まっているものが多く見つかることに着目した。龍谷大は1639年に京都・西本願寺に開かれた僧侶らの教育機関「学寮」を起源とし、今回、大学図書館などが所蔵する和本約7万冊を調査した。毛髪が含まれ、江戸、大坂、京都の3都市で出版された17世紀中頃~19世紀末の約400冊について毛髪を抽出し、元素組成などを分析した。
現代人より高いミネラル濃度、白米食への変化も
その結果、海産魚に多く含まれるカルシウムや鉄分などの濃度が、現代の東京、大阪、京都に住む人より高かった。玄米に多いカリウムやケイ素の濃度も当初は高かったが、250年間で徐々に減少した傾向も判明。時代が進むとともに精米した白米食が普及したとみられる。一方、人体に有害な鉛が多く検出された。化粧用のおしろいに使われた鉛が体内に取り込まれた可能性がある。
チームの丸山敦教授(生態学)は「文字資料だけでは見えにくかった暮らしぶりを科学的に読み取ることができた」と話した。
識者の見解
国際日本文化研究センターの磯田道史教授は「江戸人の食の変化がわかり興味深い。玄米食から白米食へ、いつどのように変化したか推測できる研究だ。文献にある海産物をよく食べた江戸人の姿も裏付けられたのではないか」と話した。



