難病ジストニアの実態:医師すら知らない恐怖と診療の壁
難病ジストニアの実態:医師すら知らない恐怖

手や足がまるで動きを拒むかのように、思うように動かせなくなる、勝手に動いてしまう――。悪夢のような神経疾患「ジストニア」の実態を、東洋経済の田邉佳介記者が追った。この病気は脳からの指令の異常により、本人の意思に反して筋肉が収縮し、異常な姿勢や動きを引き起こす難病である。

ジストニアとは何か?症状と種類

ジストニアは、長年繰り返してきた当たり前の動きが突然できなくなる疾患だ。克服しようと動かせば動かすほど症状は進行する。症状の分布によっていくつかの種類があり、中でも報告例が多いのが局所性ジストニアである。これは体の一部に異常が現れるもので、まぶたの筋肉のけいれん、首が傾く、文字を書くと手が震える、発声障害などの例がある。

ピアニストやギタリストなどの音楽家に加えて、ゴルフやテニスなどのスポーツ選手、美容師、工場のライン作業に携わる人など、さまざまな患者がいる。主に首や腕、手など、筋肉や神経が集中している部位で発症しやすいという。

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患者の悲痛な声:日常と職業を奪う症状

実際の患者の声は悲痛だ。「右手の薬指、次に小指、そして中指の順に丸まるようになり、オクターブや和音を連続で弾けない」とピアニストの山田力さんは語る。また、テニスコーチを務める30代男性は「右手の親指が外側に引っ張られ、ひどいときはちぎれると感じるほど。痛みでラケットを落とすこともあった」と述べる。

一定の動作を繰り返すことが主な原因とみられているが、因果関係など不明な点は多い。ケガや薬の副作用で発症する例もある。また、ストレスなど心因性との見方もされてきたが、ごく一部の例を除き、誤りとされている。つまり、単に休養を取っても治るわけではないのだ。

認知され始めたジストニア:著名人の影響

音楽家の患者が多いことでも知られる。2021年に開催された東京パラリンピックの閉会式で演奏を披露したピアニスト・西川悟平さんはジストニア患者だ。7本指で演奏する姿が話題になった。NHKは昨年、オーボエ奏者・篠原拓也さんやRADWIMPSのドラマー・山口智史さんがジストニアと向き合う姿をドキュメンタリーで放送。直近では今年6月、flumpoolのドラマー・小倉誠司さんが治療に専念するため活動休止を発表し、疾患の存在が社会で少しずつ認知され始めている。

診療の壁:医師すら知らない難病

しかし、ジストニアの診療には大きな壁が立ちはだかる。情報が限られており、医師でさえこの病気を十分に知らないケースが多い。患者からは「医師からは『お役に立てることはない』と言われた」という声も聞かれる。診断が難しく、適切な治療にたどり着くまでに長い時間を要することも少なくない。

治療と今後の展望:発想の転換が必要

ジストニアとどう付き合うか、発想の転換も必要だ。症状を完全に治すことは難しいが、ボトックス注射や薬物療法、リハビリテーションなどで症状を緩和できる場合がある。また、患者同士の情報交換や支援団体の活動も重要である。社会全体の理解が進むことで、患者がより生きやすくなる環境が整うことが期待される。

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