愛知県一宮市の会社「プラスワン」は、加齢や病気、けがなどで脚を動かせなくなった犬のために、オーダーメイドの車いすを製作している。飼い主の希望や犬の状態に配慮し、価格も手頃な車いすは、飼い主と家族の一員である犬との絆をつなぐ。
愛犬の突然の病気がきっかけ
代表の田下国弘さん(63)は、2011年頃、愛犬のミニチュアダックスフント「ラフ」(雄)が突然、後ろ脚を動かせなくなった。獣医師の診断は「重度のヘルニア」で、手術後も後ろ脚は動かなかった。市販の車いすは15万円と高額だったため、子供の頃から機械いじりや模型作りが好きだった田下さんは、自作を決意。アルミや塩化ビニールのパイプを曲げて組み合わせ、車いすを完成させた。
その車いすで再び自由に動き回れるようになったラフは、その後約7年間生きた。「足腰が不自由になった犬と飼い主のために車いすを作りたい」と、2011年頃から製作を始め、口コミで注文が増え、勤務先を退社。2021年に「プラスワン」を設立した。
飼い主の思いを形にする製作工程
製作は、飼い主から愛犬の症状や体の大きさと体重、色や飾りの好みを聴くことから始まる。後ろ脚が動かない場合は二輪車、すべて不自由なら四輪車にし、車いすの幅に合わせた布で胴体を支える。布の縫製は裁縫の得意な知人が担当し、犬の足を踏まないように車幅も調整。フレームのパイプは犬の体形に合わせて手作業で曲げる完全オーダーメイドだ。
これまでに1000台以上を製作し、今では海外からも注文が来る。今年1月には、めいの太田莉加さん(31)が製作に加わり、育児の合間に工房で技術を学んでいる。「動物が好きなので、ぜひやってみたかった」という太田さんは、最初に製作した車いすに乗った犬が前脚を懸命に使って動く姿を見て、飼い主とともに涙した。
「一日でも長く元気にいてほしいと願うのは、みんな一緒。これからも愛犬を思う人の気持ちに寄り添った車いすを作っていきたい」。田下さんはそんな思いを胸に製作を続ける。



