クラウドファンディング(CF)運営会社「うぶごえ」(東京都)を巡り、同社のサービスを利用したプロジェクトで集まった資金が支援先の団体に入金されないトラブルが相次いでいる。少なくとも四つの地方鉄道や寺院、ゲーム会社など六つの企業・団体が入金の滞りを訴えており、一部は法的措置も視野に入れている。うぶごえの岡田一男社長に質問を送ったが、期限までに回答はなかった。
山形鉄道、約785万円の大半が未入金
山形県南部でフラワー長井線を運行する第三セクターの山形鉄道は、昨年10~12月に運転士育成資金などのためにCFを実施。目標額の3倍以上となる約785万円が集まったが、うぶごえからは一部を除き入金が滞っている。中井晃社長は「善意のお金で、運営会社のお金ではない。非常に憤りを感じる」と述べ、全額が支払われない場合、法的措置も含めて検討している。
長良川鉄道、194人分約244万円が未入金
岐阜県の長良川鉄道も、新型車両の出発式典やグッズ制作の支援金を募るため昨秋にCFを実施。2月2日が入金予定日だったが、現在も194人からの約244万円が未入金という。顧問弁護士からは、裁判や刑事告訴しても回収は見通せないとの見解が示された。
弘南鉄道や北越急行も被害、広告費も未払い
弘南鉄道(青森県)と北越急行(新潟県)がそれぞれ実施したCFの支援金も入金が滞っている。これら地方鉄道4社のCFは、うぶごえが業務提携していた都内の出版社の鉄道雑誌に広告が掲載されたが、出版社によると広告費も未払い。岡田氏は今年1月のオンライン会議で「資金繰りが悪く、一部入金が遅延するかもしれません」と説明したという。
寺院やゲーム会社も被害、総額は1千万円超か
山梨県身延町の日蓮宗総本山・身延山久遠寺奥之院思親閣が実施したCFで集まった約100万円も入金されていない。都内のゲーム制作会社に対しては1千万円以上が未入金になっているという。
「収納代行」の仕組みが保護の網の目
問題の背景には、CFの「収納代行」という仕組みがある。うぶごえは支援者から代金を預かり、手数料を差し引いてプロジェクト実行者の口座に振り込むが、この預かり金は法的に「収納代行」に該当し、消費者保護の対象外とされる。破綻した場合、支援金は運営会社の財産とみなされ、他の債権者と同順位で配当されるため、回収が困難になる。
法整備の遅れが被害拡大の一因
CF市場の急拡大に法整備が追いつかず、今回のようなトラブルが発生。専門家は「収納代行業者に対する規制や、支援金を保護する仕組みの早急な導入が必要」と指摘する。消費者庁も動向を注視しているが、現行法では有効な対策は限られている。



