今年もクマの目撃情報が相次いでいる。中でも岩手県雫石町の民家にクマが押し入った事件は衝撃的で、1週間で4度も屋内に侵入したという。
報道によれば、7月5日には家の外に追い払ったクマが立ち上がって玄関の扉を開けて再び入ろうとしたため、男性は扉を必死に2分間にわたって閉めていた。さらに8日深夜には、自宅1階の居間で横になっていたところ、顔の近くに息がかかるのを感じて目を開けると、至近距離にクマがいたという。家の中にエサがあることがわかっていて、何度もやってくるのだという。
クマは一度味を占めたものに執着する
クマが一度味を占めたものに執着することは、よく指摘されるところである。ノンフィクション作家で人喰い熊評論家の中山茂大氏は、過去に北海道で発生した人喰い熊事件を数多く発掘した経験から、馬や鹿、人間を襲ったヒグマは、喰い残した死体を埋めたり、ササなどで隠蔽し、横取りを警戒して現場近くに居座ることが多いと指摘する。
昨今のクマ出没の背景には、過疎化により人間が山から撤退することで、里山に残された柿や栗のような果樹をクマが荒らし、「人間の食べ物の味」を学習してしまったことが挙げられる。
筆者の自宅にも2度クマが出た
本件のクマも、里山から住宅地にまで降りてきて、人家にエサがあることを学習し、付近に居座ってしまった可能性がある。中山氏は、自身が住む東京都奥多摩町の自宅にも、過去に2度もクマが出たことがあるという。
1度目のクマ出没は2016年8月、リオデジャネイロ五輪の頃だった。午後8時頃、ウッドデッキの方から「ドスン」という大きな音がした。ネコを飼っていたので暴れたのだろうと思いながらドアを開けると、ウッドデッキの梁の上に黒い大きな物体がいた。体長は1メートルほどもあろうか。そいつが筆者のほうをジロリと見た。次の瞬間、ほとんど無意識にドアを閉めてカギをかけ、全開だった窓も施錠したという。



