アジアパラ2026、中部空港で車いす引き渡しを迅速に 選手らの快適な移動支える
アジアパラ2026、中部空港で車いす引き渡し迅速に 選手らの移動支える

愛知・名古屋アジアパラ競技大会の開幕が近づき、中部国際空港への選手・関係者の入国が始まっている。障害者のスポーツ大会ということもあり、選手の身体的な負担を軽減するために、会場が近い中部空港を利用する割合がアジア大会よりも高いという。迎える空港側も様々な配慮をしながら、スムーズな利用に努めている。

約4000人の選手・関係者が中部空港を利用

10月半ばとなり、身体障害者、知的障害者のアスリートらが続々と、中部空港を使って訪れている。大会を契機に訪れる選手・関係者は約4000人が見込まれていて、中部空港が主要な経路の一つだ。中部空港にとって、これだけ大人数の障害者が利用するイベントは未経験で、担当者は準備を重ねてきている。

迎え入れの準備を担当しているのは、空港のアジパラ推進本部事務局の加藤美和子さんだ。「大会が記憶に残るものになって、さらに空港内で快適に移動してもらい、この空港を使ってまた訪れたいと思ってもらえるように、お迎えし、送り出したい」と加藤さんは話す。

障害者利用と単純に言っても、その対応は様々だ。当事者が何を望んでいるのかを、個別に丁寧にききとって、柔軟に対応していくことが「最も大事なこと」だという。

車いすの迅速な引き渡しが鍵

アジア大会との最大の違いは、車いすなどの大型の手荷物が増えることだ。各利用者にとっては、大事な競技用の道具であり、日常に欠かせない生活の一部でもあるため、預け荷物として扱う際の配慮が必要になるという。車いす利用者にとって、自身の車いすは、個々人の体にあったように設定されていることから、自分の体と同様に肌身離さず持ち歩きたいという気持ちが強い。しかし、機内では自身の車いすを持ち込むことができず、長い間過ごさねばならない。そこで、空港到着時になるべく速やかに、自身の車いすを引き渡すことが大事になる。

中部国際空港では、当事者が乗っている航空会社と情報共有・協力しながら、到着後、速やかに個々人の車いすを、優先的に荷室から引き上げて、引き渡すような工夫をしているという。「車いす利用者は、空港では、航空会社の車いす、空港が用意した車いす、個々人の車いすを、その都度乗り換えながら、移動しなくてはならない。その負担をできる限り軽減できるような工夫をするのが、自分たちの役割の一つ」と加藤さんは話す。

何十人という団体で到着する車いす利用の選手たちに、間違いなく、個別に、速やかに車いすを引き渡すのは簡単ではない。荷物の出し入れをするグランドハンドリングの職員や、航空会社などと事前に情報を共有しながら、短時間に作業を進めることが求められる。

開港からの伝統と新たな取り組み

中部国際空港は2005年の開港当時から、障害者にも優しいユニバーサルデザインで先進的な空港として、国内でも障害者向けサービスを牽引してきた伝統がある。ただ、開港から20年あまりが過ぎ、時代の要請もより高くなってきている。そこで空港では2年前から、障害者の要望を更に反映させた空港づくりを進めているという。具体的には、空港内のレストランで車いす利用者が利用しやすいように、4つの柱で支えるテーブルを配置したり、待合スペースの椅子を障害者優先として確保するだけでなく、椅子そのものを障害者仕様として座面の高さを調整して作り込んだりしているという。

当事者との対話を重視

空港で日々当事者に対応する際、大切にしているのは「車いす利用者だからこうだ。障害者だからこうだ」という思い込みで動かないことだという。自身の思い込みとは違うことに敏感に気づき、柔軟に対応できるよう、配慮に努めているという。

さらに、当事者との対話も重視しているという。「当事者とのコミュニケーションよりも、随伴している関係者と話しがちだが、当事者から要望を聞く姿勢を大事にしている」という。

アジアパラ競技大会は、10月18日に開会式を迎え、24日まで愛知県各地を中心に開かれる。