7月24日、改正皇室典範が公布された。施行は10月24日である。皇室史に詳しい宗教学者の島田裕巳氏は「改正を主導した自民党の麻生太郎副総裁は、本来解決すべき重要な問題の処理をおろそかにしてしまった」と指摘する。
島田氏によれば、麻生氏は自分の親族を将来の天皇にするという野望に注力するあまり、重要な問題を見落とした。その結果、麻生氏が最も嫌う「女性天皇・女系天皇」誕生の道をかえって切り開いてしまったという。
「皇太子」不在の令和時代
現在、皇位継承の資格があるのは3人の男性皇族で、1位が秋篠宮、2位が悠仁親王、3位が上皇の弟である常陸宮である。ただ、常陸宮は90歳と高齢であり、将来皇位を継承する可能性はほとんどない。現実には秋篠宮と悠仁親王の2人に絞られる。
ところが、この2人の立場は、皇位継承という観点からすると、かなり曖昧で、微妙である。次に天皇に即位する可能性のある皇族は「皇太子」になるはずだが、秋篠宮は皇太子ではなく「皇嗣」である。「皇」は天皇を指し、「嗣」は継ぐという意味だから、次に天皇に即位する皇族ということになる。
歴史的には、天皇の弟が皇太子になった例はいくらもある。皇太子という存在には特別なものがあり、平成の時代、現在の天皇は皇太子として活躍し、その動向が注目された。皇太子の結婚には世間の目が注がれ、その「ご成婚」は一大イベントとなった。それは、昭和時代の上皇についても言える。
「皇長子」最優先の大原則
島田氏は、皇室典範の大原則として「直系の長子」が優先されることを挙げる。今回の改正では、この原則が揺るがなかったとし、麻生氏の「野望」優先で議論がなされなかったと批判する。
島田氏は「例外中の例外」を根拠にする思惑があるとし、その結果として「愛子天皇」誕生への道が開かれたと論じている。



